ドクターとの恋

会社員しーちゃん

公開日｜2022.03.09

更新日｜2022.03.09

20代前半の社会人になりたての時、5歳年上のドクターと付き合っていた。彼は救急担当のドクターで、車が趣味だったので、休みが合えばよくドライブデートをしていた。私は医療関係者ではないので、あまり病院での勤務方法について当時は知らなかった。彼の勤務方法は、いわゆるシフト制でその中でも『オンコール』というものがあった。それは、緊急時に休日や勤務時間外であっても呼び出しに応じられるように待機することだ。つまり病院から電話がかかるとすぐに呼び出しに応じなればならないものだった。彼の自宅から勤務先は離れていたので、彼はそういった勤務の時は、よく病院近くのホテルを取っていた。

彼の勤務先から私の自宅まで、およそ1時間半あった。急な呼び出しがあるかも分からない中でも彼は、時間を割いてくれて、私の自宅近くまで車を出して、ご飯だけ一緒に食べ、ホテルへ戻っていっていた。どうしても私が、彼に会いたくなるときは、終電前の電車に乗って、片道1時間半かけて、彼の勤務先の近くの最寄り駅まで行っていた。そのまま一緒に職場近くのホテルへ宿泊などもしていた。彼の職場の人たちもよく利用しているホテルなので、職場の人に見つかるかもしれないというドキドキもあったりして、当時は楽しかった思い出だ。

最近となっては、終電前に電車に乗って、ましてや片道1時間半もかけて、会いに行きたいような熱量を持った恋愛が出来なくなっている。若さゆえの行動力だったのかもしれない。そういったアツい気持ちになれる恋愛を久々にして、恋焦がれてしまいたい。大人になって、出来ることは増えた。ただそういったことができる自分の時間と体力が、失われてしまいつつあるのが、時々無性に悲しくなる。

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