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彼がくれた3つのサボテン
塩すずめちゃん
公開日|2022.09.24
更新日|2022.09.24
友達 A の恋人は、毎年誕生日プレゼントに小さなサボテンを添えてくれる優しくてロマンチックな人だった。
サボテンには“枯れない愛”という花言葉があるらしい。
サボテンは最終的に全部で3つになった。
ずんぐりしたのと、がっしりしたのと、細長い3つのサボテン。
社会に出て3年目、ようやく仕事が楽しくなってきたタイミングで彼の地方出向が決まった。
着いて行くか行かまいかの話し合いで2人は別れることになった。
彼のことは大切に思っていたものの、当時観葉植物に全く興味がなかった彼女は
断捨離の流れでサボテンを実家の玄関に寄贈してしまった。
そんなことも忘れて1年、久しぶりに実家に帰省するとサボテンが消えていた。
仕事の電話をしようとベランダに出た時にガーデニングの1部になっているサボテンを発見した。
サボテンは、そのとき自己啓発にハマっていた彼女の母によって箱庭アートの一部になっていた。
キリンやゾウ、シマウマ、ライオンなどの動物ミニフィギュアに囲まれた砂の山に、ぽつんと3つ並んだサボテン。
食欲、性欲、名誉欲を表現した自戒的な意味を込めた作品らしい。
変ないわくがついてしまった。
サバンナを牛耳るダチョウ倶楽部みたいになってしまったサボテン。
それでも一応、彼らの第二の人生が見つかってよかった。
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