隙間

ダイキとの仲は一応は戻ったような状態だけど、付き合いは相変わらず彼本位。出す寸前は性欲に振り回され「早くまゆを抱きたい、それしか考えられない」「すぐホテル入って押し倒すから」など止めどなくメッセージを送り付けて来るが、出すだけ出したらメッセージは一気におざなりに。かろうじて朝「おはよう」くらいは入るが、この所は仕事も確かに忙しいのもあるらしいが、あれだけ毎日ねだっていた通話もしたがらず。元から一日何回もさせられる通話にはうんざりもしていたから、面倒が無くなって良い。

けれど欲望が満たされれば放置、また溜まれば激しく求められる日々は付き合い当初より自分への“物”扱いに拍車が掛かったようで腹立つし寂しくもある。いつ会うかを決めるのもダイキで、自分の欲が満たされている期間はこちらが寂しくとも会おうとは言って来ない。半月以上つれない態度が続く。私も私で、会いたいとこちらから言った事も無いが。しつこいとうんざりし、放っておかれれば寂しいし。私も私で、一体どうしたいの。なんて思いながらも付き合いをズルズルと続行中。

そんな中、私は他に二人との付き合いも続けているから一番最低なのはやっぱり私だ。タカシさんともシュウくんとも、ダイキと付き合う隙間にそれぞれに一回、各二回寝た。どちらも二度目は無いだろうと思いながら会ったが、どちらからも二回目の誘いが来て押しに弱い私ははっきり断る事が出来ず。タカシさんもシュウくんも、ピルを飲む私に避妊はしない。タカシさんは一度目より少し早く、中に射精し正常位で抱き合った姿勢の耳元で「気持ちいい」と呟いた。

コンドームなしでの挿入は女側も気持ちがいい。そして膣内射精は男からしたら射精後もしばらく女性の中にモノを入れておけるのが良いのだ、と言う。そう教えてくれたダイキもタカシさんも、今後もずっと私には避妊しないどころか中出しを続けるつもりらしい。いつかどちらかが先に射精し、その精液がまだ吸収や排出しきれないうちにもう一人と会う、なんて事態にならなければ良いが。

多少ブスでも何でも避妊の必要が無くいつでも中に出せる体をしていて従順なら、男はなかなか手離したがらないのだな…と感じる。私に本気な男は誰も居ない、愛してると連呼し別れ話になれば激昂するダイキすらも、私はセックスの捌け口に過ぎない。だが私も私で、この歳から本気の恋愛など望んでいないし家庭を壊す気もない。日常生活の隙間にただ、自分は女なのだと実感したいだけ。でも、どの男も見目ではなく扱いやすさを気に入り可愛がってくれてはいる。そしてダイキに会わない隙間には、ひょんな事から繋がってしまった二人とも遊ぶ。

20歳近くも年下のシュウくんは、その点一番遊びやすい。私達の間には全く恋愛感情が無いから。本当にいわゆるセフレで、セックスは互いにしたいからするだけ。おざなりに言う愛してるの言葉も無ければデートっぽい事も無い。ダイキもタカシさんも仕事で会えない日が続いたある日、夜12時近くにスマホを覗いていたら「起きてる？」とシュウくんからメッセージが入った。「今から俺の車でしない？」という言葉に、つい笑ってしまった。分かりやすいなぁ。あとは寝るだけ、という時間に「今から？いいよ(笑)」と返信すると「15分くらいで着くよ」と返り驚く。シュウくんの住む町とここまでは車でも通常なら40分は掛かるから。「OKだったらすぐ会えるように、近くまで来てた！」とメッセージが来たが、私が断ったら無駄足だっただろうに。15分ならメイクする時間すら無い、すぐにしたがるだろうからブラジャーもショーツも脱いでパーカーとロングスカートで家を出た。

私に興味が無い旦那はゲームのコントローラーを握って椅子で寝ている。その旦那には“朝御飯の食材が足りない、コンビニに行ってきます”と書いたメモだけ残せば済む。そうやって外に出ると、ほどなくしてシュウくんの車が見えた。目立たない場所に車を停めシートを倒してマットが敷かれた後部座席に引っ張り込まれる。「ね、触って」と言われて触ると、もうガチガチに勃起していた。シュウくんは騎乗位が好きらしく、二度目のセックスでも上に乗らされた。狭い車の中でも意外と女が上になる騎乗位は容易に出来ると知る。シュウくんは騎乗位が好きと言ってもただ乗らせるだけじゃなく、下からお尻を掴んで突き上げるのが好きらしい。今日もそうしてイカされ、シュウくん自身は私の頭を持ってイラマチオをさせ口内に射精した。

決して激しくではなく同意も得てからするが、ダイキもシュウくんもこのイラマチオを好む。やらされる方からしたら苦しいので自分から好んではやりたくない。それにどちらがする時も私の歯が当たるが、どちらもいつもお構い無し。痛くはないのだろうかと心配だったりも。そしてやっぱりダイキのもシュウくんのも、精液の味が飲みやすいと感じた。逆に旦那のはなぜあんなに舌にビリビリするんだろう。やるだけやって出したらお互いすぐに身なりを直し「また連絡するね」「じゃあね」とあっさりお別れ。面倒が無くて良い。

そうして隙間に遊びそっと帰って布団に滑り込み、翌朝はまた何にもなかったような顔をして母や妻の役目をこなしている。