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風流過ぎた元カレ
恋する乙女 女性
公開日|2023.05.03
更新日|2023.05.03
大学生の時に付き合っていた彼氏は、大学院で古今和歌集を研究しているバイト先の先輩でした。
穏やかな物腰に惹かれて猛アタックし、晴れてお付き合いすることに。
デートを終えて帰宅すると早速お礼メールが届いており、うきうきと開封。
メールの件名妙に長いな…と口に出すと何と5・7・5でした。
うわあ研究者の卵になると21世紀のメールの件名は俳句なのか、と思いつつ「楽しかったです」とメールを返信。
つつがなくメールのやり取りをしていた数週間後、デート中に彼氏が寂しそうな顔で呟くのです。
「ねえ、僕が上の句を送ってるのに、何故下の句を送ってくれないの?」
え、連歌?(彼は和歌が好きなのに毎度俳句を送ってくるのは、件名の文字数制限のせいだと思っていました)。
その日から私の苦悶の日々が始まりました。
日常の些細なことを書いたメールの本文はとっくに完成しているのに、いい下の句が思い浮かばないので、大好きな彼氏のメールに返信できないのです。と言うか「先に着いたよ」のメールを送るのに何故、本文より長い件名(下の句14字)を考えなければならないのか。
惚れた弱みで連歌を続けているうちに私も和歌スキルが上がってきたところ、彼氏は気を良くしたのか上の句に技法を凝らしてくるようになりました。地獄です。
掛詞良し、縁語良し…って、危ない、枕詞回収できてないじゃん!今日はすんなり送信できるぞ…ってもしかしてこれ、折句…?と同世代の友人と恋バナしているのに、一人だけ悩みが平安貴族。
その他記念日にくれた手紙が毛筆縦書き古語だったりして、ネタのために付き合っているのか分からなくなり、別れました。
付き合っていたのももう15年前、彼がLINE文化に適応できているのかが心配です。
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