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夢見るナルシスト
遠足の持ち物
公開日|2022.04.12
更新日|2022.04.12
今から10年ほど前の話です。
ある会社の内勤のアルバイトをしていた頃、顔がタイプの年下の男と出会いました。
勤務で顔を合わせた日はお昼を一緒に食べたり、帰り道にも沢山話すようになって距離を縮めていき、お付き合いを始めました。
彼は趣味でバンドを組んでいました。
彼の家に初めてお邪魔した時に、お部屋にギターが立ててあり、それを見ただけでカッコイイ!と思ってしまった私。
ハリー・ポッターで言う【惚れ薬】でも服用したかのような心理状態になっていたのかもしれません。
彼「来月ライブがあるから見に来てよ!」
ギターを見てときめいたものの、関心が薄かった私は興味のない事に時間を割きたくない為、その誘いが正直面倒に感じました。
しかし自信満々に誘ってくるので、一回ぐらいいいか、と行くことにしました。
小さなライブ会場に何組か出場するバンドがいる為、沢山のお客さんが入っていました。
それでも最前列に行けたので、間近で見てあげました(笑)。
彼のバンドが出場するのはトリ。
トリということは、その日を締めくくる人たちであるわけで…と、クジで順番が決められたことを知らなかった私は、余計な期待を持ってしまいました。
私は普段音楽を聴くのは好きですし、好きなアーティストもいます。
ただ、地元で活動しているアマチュアの方々はよく知らないので、小さなライブに行ったのはその時が初めてでした。
他のバンドの演奏は上手だな、とは思いましたが、私にはあまり馴染みのない曲が多く、飽きてきていました。
もう少しの我慢…と思っているとついに、彼のバンドの順番がきました。
軽い劇と共に音楽を演奏するとのことで、
『俺もセリフあるから楽しみにしてて!』
と言っていたので、そこはちょっと面白そうだな、と感じていました。
いざ始まると、目の前に私がいることに驚き、彼が照れているのがわかりました。
そんな様子も温かく見守っていたのですが、私の期待は裏切られてしまいました。
それは、明らかに彼が足を引っ張っている様子だったからです。
具体的には、
●照れが入って声が小さく、セリフが棒読みだったこと
●完成度の低い弾き方
●ソロの部分では一人 前に出て注目されてるのに、目を開けて聴いていられないくらい酷い演奏
でした。
私と一緒にいる時の彼は、ギターの練習をするよりも鏡を前にしてカッコ良く見えるポーズばかりを練習していたのです。
ええ、きっと、一人でいる時もそうだったのでしょう。
え…?何この演奏…、ひどくない…?
これ、習い事の発表会じゃないよね?
など、悶々と考えてるうちに終わって私と合流した彼は、
『いや~、楽しかった!』
と、とても満足げな様子でした。
この人の頭の中はどうなってるんだろう?
人として違和感を覚えたものの、興味が湧いてきた為に交際を続ける選択をした私。
後に何度も嫌な思いをするとは知らずに…。
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