階段から突き落とされそうになった話

ゆーむ

ゆーむ

公開日|2023.01.10

更新日|2023.01.10

私が20代前半の頃、ちょうどBarやクラブを覚え始め、その日も行きつけのBarに友達と獲物探しに行っていました。

そこでいつも仲良くしている10歳上の男性の友達とその日初めてそのBarに来たのが後に私と付き合うことになるTでした。


Tとはその日のうちにとても仲良くなり、すぐにカラオケに移動することに。

カラオケで濃厚なキスを交わしたぶんそのままホテルに向かったと思います。


正式に付き合うとなったのはいつだったか忘れましたが、相思相愛で周りから見てもとてもラブラブでした。
しかし突然、Tの仕事の都合で片道2時間ほどの遠距離になってしまいました。


でも会えないなんて耐えられないので、私が金曜日の仕事終わりにそのまま新幹線に乗り2時間かけてTのところまで行っていました。
私も旅行気分で毎週毎週その地の観光地に行ったり、クリスマスやバレンタインを2人で楽しみ、本当に今までで一番濃い大切な時間を過ごしました。


そんな遠距離恋愛が続き約半年ほど経った頃のことです。


Tはとてもやきもち焼き。

私も同じく嫉妬心が強いタイプで時々それぞれの周りの男女関係のことでもめることが増えてきました。


私はTの同僚の女性がとても鬱陶しい。

何かにつけてTを家まで送ったり複数人で飲み会もよくしていました。


その女性と私が初めて同席したTの職場の飲み会では、私はついに耐え切れなくなり彼女に対して暴言を浴びせてしまいました。

Tからはとても怒られ、「帰れ」と言われてしまいました。


そんなとき事件が起こりました。

一緒に遠距離先で電車に乗っていた時のこと。

何か話の流れで、私の携帯を彼が見たいと言いました。


そのとき実は私は地元の仲の良い男友達と2人きりで一緒に遊び、体の関係はないもののかなり親密になっていました。

その男友達とのメールのやりとりは見られたらかなりまずい…。


そんなことを思いながら必死に誤魔化しながら急いでメールの受信ボックスをこそっと全て削除しました。

(もう大丈夫…)そう思いTに携帯を渡すと、Tはメールの送信ボックスを開き私に「これ何?」と問うのでした。


そこには私が男友達に昨日送った「会いたい(ハート)」の文字が…。
その瞬間Tの目つきが変わり、私に対しドンッとどこかを攻撃しました。


大きな声も出し始めたし、電車という密室状態だしこのままじゃ危ないと思ったので席を立ち次の駅で降りようと思いました。

扉が開き私はすぐに電車を降り、たまたま目の前が地上へ続く上り階段だったので急いで階段をかけ上がりました。


ついてきたTは、階段を上る私の腕をつかみ階段から引き下ろそうとします。

命の危険を感じました。


必死に手すりにつかまりますがTの力は弱まることなくむしろどんどん強くなっていきます。

持っていたハンドバックも引っ張られ階段の下に放り投げられました。


「一度電車に乗って家に戻って話そう」そのようなことを言われたと思います。

ぼろぼろの体で次に来た電車にかけ乗り、Tも一緒にかけ乗りました。


そのときの私の風貌はかなりひどく、髪はボサボサ腕にはアザ、服装は乱れ、目には大粒の涙。

Tの目つきもアドレナリンが出て興奮状態。


その電車に乗っていた乗客の方からすると明らかに異常なことが見た目で伝わったと思います。

このまま一緒に電車に乗り自宅へ戻ったら殺される、そう感じた私は身を守るためのとっさの判断で逃げる決意をしました。

(この後、「ドアが閉まります」のアナウンスが鳴ったらギリギリのところで逃げよう)


そして、ドアが閉まりだしたときの絶妙なタイミングでギリギリ逃げ出すことができました。
もちろん携帯は彼が持ったまま。


私が持っているのは携帯が入っていないぼろぼろのハンドバックのみ。

向かった先はただ一つ、警察署でした。


初めて降りたその駅の周辺地図を見て警察署を探しました。
警察署についた私は震えながら大号泣で「彼氏に殺されそうです…助けてください」と入り口で訴えました。


そして諸々の手続きが始まりました。

アザの証拠写真を何枚も撮り、出来事を事細かく伝え、最後に被害届を出すか尋ねられました。


私が出した答えは「出しません」でした。

Tは有名企業の御曹司であったため将来的に名前が世に出る人でした。


あんだけひどいことをされたのにTの将来のことを気にして被害届は出さない選択をしました。

今思えば出していればよかったと思うくらいです。


そしてTは私を追ってきて、なんと警察署に入って来ました。

そのときの私は、別部屋に案内されて直接会うことはなかったもののTが現れたとの情報に身が震え「殺される、殺される」と恐怖が全身を支配していました。


その後は警察の介入により、携帯は返却してもらいすぐに地元に帰りました。


あんなに相思相愛だったのに、お互いへの思いが強すぎて嫉妬心が爆発し最終的に暴力事件、警察沙汰になるなんて、こんな経験人生でこれが最初で最後でした。

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