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小学生時代の初恋、夢のようだった思い出
ヒトコイ引用投稿アカウント
公開日|2022.02.10
更新日|2022.02.10
初恋は小学校六年生の時、相手は同じクラスのサッカーが得意な男の子でした。学期の移り変わりや季節の節目に必ずある席替え。私のクラスはくじ引き制でした。男女が隣になるのが絶対ルールで、ご近所は運次第・・・という完全に運任せのゲーム。そのくじびきで、十数人いる男子のうちなぜかしょっちゅう隣を当ててしまうのが、彼でした。当時の私はスカート大嫌いズボンっ子、休み時間は教室でお喋りするよりも外でドッジボールしていたい、ボーイッシュな女の子でした。始めはその他大勢と同じだった彼。黒板に名前が並んで書き出されるたびに、お互い「またおまえかよ!」なんて言い合っていました。でも決して嫌いではなく、まあいつも通りだしまあいっか、という気持ちで安心していました。しょっちゅう真横にいるとなると、男子とはいえ自然と会話が増えてきます。彼はサッカー以上に勉強が得意な秀才。私は体育以外は苦手という典型的なタイプ。宿題のわからないところをこっそり写させて貰ったり、私の悩んでいる様子を見兼ねてたまにヒントをくれたりと、からかいながらも世話をやいてくれます。次第に「忘れ物したからちょっと借りるわ!」と勝手に相手の机をさぐったりと、すっかりご近所の感覚が身につき始めました。この頃はまだいい男友達でした。事態が変わったのは、秋の修学旅行の前。小学生といえど女子は女子、みんな恋愛関係の話題に敏感で、噂好きです。「○○君のこと好きなんでしょ~」としょっちゅう言われるようになりました。男子に至っては「○○と□□は両想い~!」と大声で言いふらす奴も。本当ばかです男子は。そんなことをしているうちに、次第に「もしかして本当にあいつのこと好きなのでは・・・?」と思い始めた私。遂に気付いてしまいました。そして来たる修学旅行の班決め。もちろんくじ引きです。彼と同じ班になれるよう祈っている自分がいました。そして見事に同じ班に当選! というかまた名前が隣だー! 見学と自由時間の散策は班行動になるため、人生初の修学旅行はとても楽しく過ごせました。そして旅行が終わる頃には、すっかり彼を好きな人として認識していました。それから卒業まではあっという間・・・同じ公立中学に進学するはずが、頭のいい彼は私立受験希望者でした。受験というものをよく分かっていなかった私は、ただひたすらがっかり。田舎の男勝りな小学生は、卒業式の前に告白しようなんて決意はできませんでした。今更そんな女の子みたいなことするのは恥ずかしい! というプライドが邪魔をしました。そのまま卒業して、彼との縁は切れてしまいました。彼のいない中学校での三年間は、それなりに楽しみました。部活も頑張ったし友達もたくさんできた。でもいつも心の片隅にひっかかっているのは、今どこでどうしているのかも分からない彼のこと。でも携帯電話ももてなかった当時、今更どうすることもできず、子供の頃の淡い初恋として、誰にも言わず胸にそっとしまっておこう・・・そう決意しました。そして中学を卒業して、高校二年生の夏。思わぬ出来事がありました。小学生時代のリーダー的存在だった子の主催で、プチ同窓会をやろうという企画があがったのです。場所は学生らしく、ファミレスからのカラオケコース。クラス全員を呼べる規模ではなく、身近だった数人に声をかけたようでした。その中に私と、彼の名前がありました。もう一生会うことはないかもしれないと思っていたのに、まさかの再会のチャンスが訪れました。同窓会当日、彼を見てまず思ったのは「誰だこいつ!?」でした。なんかでかい! なんかごつい! 私よりも背が低くて身体もひょろひょろだったくせに、今や頭一個分は高く横幅もがっしりしている。声も低くてオッサンのよう。十二歳で記憶が止まっている私は、記憶とのギャップに恐れ慄きました。しかしいざ喋ってみると、少し大人びたものの中身はやっぱり私の知る彼のまま。髪を伸ばしてスカートを短くしていた私に驚いたのは、彼の方も同じだったようです。昔話で盛り上がり、カラオケでも歌うどころではなかった私はしどろもどろ。傍目にも彼を意識しているの丸分かりだったと思います。日が暮れて解散する際に、メールアドレスを交換しました。そこからまたお友達関係の始まりです。生活空間が違うので話題に困らず、どうでもいい日常の内容を気が向いたらメールする、という関係がしばらく続きました。でも私達はもう年頃の男女で、小学生じゃない! もちろん、私は彼と付き合いたいと考えています。悩んだ末に、小学校の同級生でずっと親友の子に泣きながら相談しました。彼女からのアドバイスは一言、「うだうだ言ってないでさっさと告白しろ!」。勢いに押される形で決意して、その夜さっそく電話して好きだと伝えました。声は裏返って、受話器をもつ手も足もガクガク震えて・・・。しばらくの沈黙の後、彼の返事は「ちょっと考える」。はあ!? と思っているうちに電話が切られました。ともかく考えるといったからには悩んで貰うぞ! としばらく待機。三日後に「付き合おう」と返事がきました、メールで。メールでも十分でした。自然と涙が流れました。それから高校を卒業するまで一年半ほど、彼とは付き合いました。大学受験の時期になって、今までぼんやり浮かれていた私は、彼の見据える具体的な将来を知ることとなります。子供の頃から常に勉強ばかりだった彼らしい、私には手の届かない未来でした。もう生きている世界が違うと思いました。彼が東京の大学へ進学すると同時に、小さな初恋から始まったお付き合いは終わりました。初恋は叶わないっていうけど、叶ったよ自分。勇気を出した私を褒めてあげたい、そんな思い出です。
引用元:Arme
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