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近所の男の子と、両片思い。
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公開日｜2022.02.10
更新日｜2022.02.10
■ それは近所の男の子
その男の子は自宅の向かいに住んでいて、私はその子の妹ととても仲がよかったのです。妹もまた、恋に悩む女の子で、私は彼女の悩みをよく聞いていました。家に行くこともしょっちゅうで、よくお母さんが手作りのクッキーを焼いて出してくれたのを覚えています。
男の子は受験生でしたが、私が来ると笑顔で話しかけてくれました。
■ 一年後、状況が一変
男の子は無事に進路が決まり、とても大人びた感じになったのが印象的でした。そして、私に劇的な状況の変化が起こります。母が大病の末に亡くなったのです。慌ただしく初七日が過ぎ、四十九日を迎えるころ、近所を歩いていて涙が止まらなくなりました。
そして、男の子に呼び止められるのです。「どうしたの？」と。
私は、男の子の部屋に行き、たくさん話を聞いてもらいました。そして、男の子はそっと私を抱きしめたのです。その時は、すごく嬉しかったし安心しました。
だけど……「これ以上はやめとくね。君の寂しさに付け入っちゃう気がするから」と、その時はそれっきりでした。
■ 数年後の再会
それからしばらくして、私は心労がたたって長期入院を余儀なくされます。そして退院後、元いた家に帰ることはありませんでした。男の子のことは気がかりで、一度会ってきちんと気持ちを伝えたいと思っていましたが、それが叶わぬまま数年経ち、偶然男の子と再会するのです。
ですが、すでに私に彼氏がいる状態でした。話の流れで家まで送ってくれることになりましたが、男の子に「あの時、僕のことどう思ってた？」と聞かれたので、素直に「好きだった」と答えました。すると、男の子は「僕、きみをつかまえておけばよかったと思ってる」と……。私は、「ごめんなさい」というのが精一杯でした。
私と男の子は、両片思いの状態で3年あまりを過ごし、恋を実らせることなく終わらせてしまったのです。とても切ないことですが、仕方ありません。
もし、恋が実ったなら、どんなおつきあいになっていたか、今でも考えると胸が痛くなります。
引用元：めるも
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