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ホステスを極めた先輩が選んだ男
塩すずめちゃん
公開日|2022.10.03
更新日|2022.10.03
大学を卒業後、役者を目指し上京。
生活費を稼ぐために始めたスナックのアルバイトで才能が開花し、
15年後に自分のお店を開店したミズキ先輩。
山手沿線から少し外れた、いわゆるサブカルエリアだった。
一見の大学生のスナックデビューも笑顔で迎え入れ
近隣に住む手練れの叔父様の疲れを癒し、
「普段はこんなとこであんまり飲まないんだけど」下界の見物にきた鼻持ちならないサラリーマンも見事に自分のペースに巻き込んでいた。
ミズキ先輩がすごいのは、全然すれていないことだった。
どんな客でも「接待してあげてる感」を一切出さず、皆を愛し、自分も全力で楽しんでいた。
そんなミズキ先輩はどんな男性を選ぶのか大学在学中からずっと気になっていた。
信じられないほどモテるのに浮いた話がひとつもなかった。
そんな折、お店の1周年パーティーで念願の「ミズキ先輩が選んだ人」に会うことができた。
爪も髪も服もピシッとして華やかな先輩が肩を抱いて紹介してくれたその男性は、
ミズキ先輩と2歳違いのはずなのに20歳上ぐらいに見える、坊主で優しい笑顔の男性だった。
ガラス職人をしている彼は「ミズキがお世話になってます」ととんぼ玉をプレゼントしてくれた。
「お祝い用にデカンタグラスを作ろうとしたら大きくなりすぎちゃったから、花瓶にして」
最後に、飴細工みたいな綺麗な贈り物を置いて彼は帰って行った。
ミズキ先輩は大事そうに花瓶を抱えて「いい男でしょ」と微笑んだ。
私の身近なバチェロレッテが選んだのは、マイペースな芸術家だった。
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