キーワードで探す
「そんな奴やめときなよ」をすんなり聞き入れる女はこの世に存在しない
塩すずめちゃん
公開日|2022.09.11
更新日|2022.09.11
『そんな奴やめときなよ』この言葉を言ったことがない、あるいは言われたことがない女性は日本に存在しないと思う。
中学高校大学、アルバイト、サークル、会社、
どこのコミュニティに属しても絶対 1 人は『そんな奴やめときなよ』と言われる恋愛をしている女性がいる。
私の初『そんな奴やめときなよ』は高校2年生の時だった。
同じクラスのしずかちゃんは、凛とした猫顔なのに笑うと子犬みたいにくしゃっとするのが可愛かった。
密かに“顔を交換できるならしずかちゃんの顔がいい”と思っていた。
明るくて無邪気なしずかちゃんが、2年生になると憂いを帯びてやけに色っぽくなった。
違うグループに属していながら、しずかちゃんの方向から
「あいつのどこがいいの!」
「〇〇ちゃんも△△さんもイこうとしてるって噂になってるから!」
「今度別の人紹介してあげるって!」
「しずかならもっといい人いるって!」
という会話が日々繰り返されているのが気になってしょうがなかった。
そんな時、偶然しずかちゃんと2人で下校できる機会があった。
勇気を出して話を聞いてみた、どうやらしずかちゃんは1年生の春、テニス部にコーチとして来るOBのコウスケさんといい仲になったらしい。
そして「付き合おう」とは明言されないまま、
ホテル集合、ホテル解散のフワッとした関係が始まってしまった。
こんな可愛いしずかちゃんをそんな扱いするなんて。
私が初めての「そんな奴やめときなよ」を発した瞬間だった。
その年の秋、文化祭でたこ焼きを販売している私たちクラスの屋台にコウスケさんが現れた。
しずかちゃんみたいに笑うとくしゃっとなって可愛い、爽やかな青年だった。
「テニス部のOBのコウスケです、しずかにいつも話聞いてます」
屋台にいた一人一人に笑顔で挨拶してからしずかちゃんの前に立つと
「その時計、新しいやつ?可愛い、めっちゃ似合うじゃん」
と言ってナチュラルにしずかちゃんの手首を手に取った。
その時のしずかちゃんの笑顔は今でもずっと覚えている。
結局しずかちゃんは誰の「そんな奴やめときなよ」も聞き入れず、
大学でいろんな人に告白されてもずっとコウスケさんを好きで居続けたらしい。
この間、電車で隣に乗り合わせた女子高生グループから「そんな奴やめときなよ」が聞こえてき
てふと思い出した。
「そんな奴やめときなよ」は世代を越える。
もっと読みたい!あなたにおすすめの記事はこちら
ログインをすると利用出来ます
コメントを書く