三角形の恋

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代官山紀伊國屋で見かけた カップルと、店員の三角関係を、スターバックスのソイラテを片手に勝手に妄想して時間潰しをした結果生まれた、ショートストーリー

(フィクションです)


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美香は代官山の有名な本屋で働いている。この日も店内は多様なジャンルの本で賑わっている。




美香はレジで仕事をしていると、ドアが開き、常連客の翔太が入ってくる。

翔太が店に来ると、美香はいつも心の中でほっとする。彼の紳士的な態度と文学に対する情熱は、美香にとって魅力的だ。



翔太:「今日もいい本が揃ってるね。」

美香:「いつもありがとうございます、翔太さん。新刊の詩集も入荷しましたよ。」

翔太:「そうなんだ。ちょっとチェックしてみよう。」



翔太は微笑みながら詩のコーナーに向かって歩いていく。

美香は彼がどの本に手を伸ばすのか、興味津々で見つめる。

翔太が去った後、美香は心の中で小さく溜息をつく。彼との短い対話が終わるといつも少し寂しい。


その後、店長が美香のレジに近づいてくる。中年の男性で、この店を長いこと経営している。




店長:「美香、新しく来る同僚、健也をちょっと見ててくれるかな?」

美香:「健也さんですか、何か特別な指導が必要ですか?」

店長:「いや、ただ新しいので最初は戸惑うかもしれない。君がしっかりサポートしてくれたら安心だな。」

美香:「わかりました、できるだけサポートします。」



店長はうなずき、後方にあるオフィスに戻っていく。

美香は翔太がレジに戻ってくる前に、新しい同僚、健也に会うことに少し心を奪われる。

未知の人物に対しては、美香はいつも少しの期待と緊張を感じる。新しい同僚との関係がどうなるのか、未知の可能性に心が躍る。




翔太はある日、美香に代官山の隠れ家的カフェでのデートを提案する。

美香は翔太からの誘いに、心の中で少し高鳴りを感じながらも、涼しげな表情で了承する。



カフェは代官山の静かな裏通りにあり、店内は落ち着いた色調と木の温もりが心地よく広がっている。

翔太:「このカフェ、どう?」

美香:「素敵ですね、落ち着く空間です。」



美香は店内の雰囲気に溶け込むようにソファに座る。翔太も隣に座り、メニューを一瞥する。


翔太:「コーヒー好き?」

美香:「はい、いいですね。ブレンドコーヒーでお願いします。」


ウェイターに注文を済ませた後、翔太はバッグから何かを取り出す。それは美香が以前、店で話していた新刊の詩集だ。


翔太:(詩集を渡しながら)「君が好きだって言っていた詩集、読んでみて。」


美香は驚きと感動で目を細める。翔太のこの行動に、美香は翔太に対する気持ちが一段と深まる。


美香:「本当にありがとうございます、これ、すごく読みたかったんです。」

翔太:「君が喜んでくれるなら、僕も嬉しいよ。」


翔太の優しい笑顔に、美香は何も言えずにしばらく見つめてしまう。


この瞬間、美香は翔太に対する感情が友情以上のものになっていることに気づく。しかし、その気持ちをどう扱うべきか、まだ答えは見つかっていない。



健也が店に配属されてから数週間が過ぎた。

その間にも、彼は新人らしからぬ働きぶりで皆に好印象を与えている。

特に美香は、健也が客にオススメの本を熱心に説明している姿に何度か気づいていた。その度に、「この人はちょっと特別かもしれない」と感じていた。



今日は美香と健也が店内のレイアウト変更作業でペアになった。二人はしばらく黙々と作業を進めていく。

健也:「美香さん、このレイアウトはどうでしょう?」

健也が指を指す方向には、詩集と小説が美しく並べられている。

美香:「いいと思います、新しい視点は大切ですから。」



美香は健也の提案に感心する。彼は新人でありながら、店に何か新しいものをもたらそうという意欲を感じさせる。

その瞬間、美香は健也に対する好意をより強く自覚する。

作業が一段落すると、健也が少し緊張した様子で言葉を続ける。


健也:「美香さん、作業が終わったらちょっとお茶でもどうですか?」

美香:「いいですね。どこかいい場所がありますか?」

健也:「実はこの近くに静かなカフェがあって…」




美香はその提案に微笑む。そして二人はカフェで心地よい時間を過ごす。その時点でまだ、健也がどう感じているのかはっきりしないが、美香は彼との会話が心地よいことに気づいていた。



数日後、再び二人で作業する機会があり、その際に健也は美香に告白する。



健也:「美香さん、ちょっと話があるんです。」

美香:「もちろん、何でしょう?」

健也:「美香さん、僕、君のことが好き。みたいです。」



美香は少し驚くが、完全に予想外ではなかった。しかしその瞬間、美香は自分の心の中で何が起きているのか、まだよくわからない。


美香:「ちょっと驚いてます…。 嬉しいですが、少し時間をください。」

健也:「もちろんです。僕の気持ちは変わりませんから、考える時間を取ってください。」



健也の真剣な眼差しに、美香は自分自身の気持ちが揺れる。その告白から、美香は健也に対する感情が単なる同僚以上のものになっていることを実感する。




翔太と美香は代官山の某おしゃれなレストランでディナーを楽しんでいる。

店内は落ち着いた照明と、流れるようなジャズ音楽で埋め尽くされている。しかし、美香の心はそれほど穏やかではない。



翔太:「このワイン、なかなかいいでしょ?」

美香:「ええ、とても美味しいです。」



翔太は美香の表情に何か違うものを感じ取りながらも、しばらくはそのまま会話を楽しむ。



翔太:「最近、新しい詩集を読んだんだ。君がおすすめしてくれた作家のものだよ。」

美香:「そうなんですね、感想はどうでしたか?」

翔太:「素晴らしかったよ。君のおかげでいいものに出会えた。」

美香は微笑むが、その笑顔には少し緊張が交じっている。翔太はついにその緊張を看破する。

翔太:「美香、何か心に決断ができないことでもあるのか?」

美香の目が少し見開く。翔太の洞察に驚いたのと同時に、逃げ場がなくなったことを実感する。

美香:「それは…ちょっと複雑なんです。」

翔太:「複雑、って?」

美香:「実は、職場に新しく来た人と…ちょっとだけ、気が合うというか。」

翔太:「それは良いことじゃないか。でも、それが何か問題を生んでいるの?」

美香は深呼吸をする。この瞬間が来るのをいつかは予感していたが、いざその場面に立つと言葉が出にくい。

美香:「その人、実は私に告白をして、それで私も少し…迷っているんです。」

翔太は一瞬言葉を失うが、すぐに冷静な表情を取り戻す。

翔太:「そうか。それは確かに複雑だね。」

美香:「私、どうすればいいと思いますか?」

翔太:「それは君が決めることだよ。ただ、君がどちらを選ぶにせよ、その決断には責任を持ってほしい。」



美香は翔太の言葉に心打たれる。修羅場の始まりだと感じつつも、翔太の大人な対応に少し救われた感じがする。



美香:「ありがとうございます、その言葉、とても力になりました。」

翔太:「君が幸せになる方を選んでほしい、それだけだよ。」



二人はその後も食事を続けるが、美香の心の中での修羅場はこれからが本番であることを、彼女自身が一番よく知っていた。



美香は胸の内で何度も決断の瞬間を繰り返してきた。

翔太と健也、二人はそれぞれ美香にとって特別な存在であり、それぞれ違う魅力を持っていた。だからこそ、この決断は非常に重いものであった。

美香は代官山の本屋で仕事をしながら、昼休みに二人に同じ時間、同じ場所で来てもらうようメッセージを送った。




本屋の裏にある小さな公園、そこが決断の場所だ。

翔太と健也が時間通りに現れる。三人の表情は緊張で固まっている。



美香:「ありがとう、来てくれて。」

翔太と健也:「うん。」



三人はベンチに座る。美香が深呼吸をして、言葉を紡ぎ始める。



美香:「私、長いこと考えていたんです。翔太さんも健也さんも大切な人で、選ぶのが本当に難しかった。」


翔太と健也は静かに美香の言葉を聞いている。



美香:「でも、最後には自分自身に正直でないといけないと思いました。」

美香は少しだけ立ち止まる。そして続ける。

美香:「翔太さん、健也さん、私は…翔太さんを選びます。」

健也は少し顔を下げるが、すぐに美香に向かって微笑む。

健也:「美香さんが幸せなら、それでいいです。」

翔太は美香に手を伸ばし、その手をしっかりと握る。

翔太:「ありがとう、美香。」

美香:「いえ、私こそありがとう。」



三人はその場で少しの間、ただ時間が過ぎるのを感じた。代官山の本屋で始まった三角関係に終止符が打たれ、新たな章が始まる。

健也はその後、美香と翔太が成熟した関係を築いていくのを微笑みながら見守り、自身も新しい道を歩んでいく。

美香と翔太はその後、数々の詩集と共に、新しい日々のページを埋めていくのだった。

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