家が隣近所の幼馴染み

私と片想いの相手(仮にY君とします)との出会いは、よくある”家が隣近所の幼馴染”という少女漫画あるあるのようなポジションでした。なので、いつ頃出会ったかと言われれば、物心ついた頃から。という答えが一番近しいかなと思います。

小学校3年の頃、私は親の仕事の都合で転校をすることになりました。初めての転校を経験し、クラスにあまり馴染めなかった私に、登下校する際の「集団登校」の中でも唯一の同い年で、家が近くということも有り、すぐに仲良くなりました。

そんな小学生時代は土日の休みになると、どちらか互いの家で過ごすことが多くなっていました。

恋した日を悔しいほどに覚えている

出会いは小学生時代ですが、恋心が芽生えるのはまだ先のこと。小学校時代は、ただの同級生・幼馴染という友情しか有りませんでした。むしろ、どっちかというと真逆の好きなタイプだったので、安心して遊んでいたような気がします。

私の通っていた小学校は、中学校に進学する際に、地域ごとに2分されましが幸い(?)なことに家が近所だった私たちは、同じ中学校に進学。また、小学校から2人とも好きだった音楽の影響で、同じ吹奏楽部に入部しました。

中学校の部活動は、半端な気持ちで活動していた小学校の音楽クラブとは打って変わって地方大会では毎年コンクールで金賞の常連校。練習も相応のハードな練習でした。テスト期間を除いた平日・土日は毎日遅くまで活動していました。

お遊び気分半分で入部した私にとっては、中学校2年までの部活動2年間は苦痛でしか有りませんでした。それに引き換え、Y君は元々実家で楽器を持っていて、音楽の英才教育を受けていたこともあり同級生はもちろん、上級生や顧問からも一目置かれる存在でした。

入部して半年後、Y君は学年のリーダーとなり私たちの学年をまとめていました。私はといえば、土日も何かと理由は部活をサボれる休みの理由を考え、上級生や顧問から毎週のように呼び出しをくらっていました。今思うと黒歴史でしかありません。笑

部活は部員数も多く、毎年コンクールに出場するメンバーをオーディションで選出するのですが、サボりまくりの私はもちろんメンバーには入れず。一方でY君は努力家と本来の才能も有りメンバーに1年生にも関わらず、上級生に混じってメンバーに。

毎日多忙なY君と、適当に毎日をやり過ごす私。登下校で一緒になる機会もなくなり、休みの日も、部活や学校でも、自然と会う機会は減りました。

余談ですが、本来男子生徒自体も少ない吹奏楽部。Y君の才能と謙虚な姿勢は、先輩・後輩を問わずに部内ではかなり人気がありました。

さて、私がようやく真面目に部活を頑張り始めたのは、先輩がすべて卒部した中学3年生から。周囲の後押しと力添えもあって、毎日楽器に触れていると謎の才能を発揮し、気づけばパートのトップ奏者になり、ソロ曲を任せられる機会も増えていきました。

そんな私が恋心を自覚したのは、中学最後の夏。今でも悔しいほどに日付まではっきりと思い出します。夏の終わり、8月30日でした。

部活と思春期は、青春を加速させる

夏休み中。中学校の蒸し風呂状態になる音楽室から離れ、近くにある小学校の体育館を借りて練習に励んでいました。コンクールの練習が始まってからはY君と二人きりの登下校の毎日。

元々、幼馴染で音楽の趣味も共通なので登下校中は、熱心に音楽談義をしながら、どうやったらもっと良い音楽になるかと、時にはぶつかり合って、お互いの考えを話し合いました。

コンクールが近くにつれ、幼馴染の枠を超えて、同じ目標に向かって努力している仲間。仲間以上に、お互いをライバルと意識するほどに。私たちは音楽とコンクールの事だけを毎日考えていたし、Y君ができるようになった事は、すぐに自分も追いつく。二人で作曲者の意図について夜中まで電話をする事も。

中学3年生にもなると、周りのクラスの子達には彼氏ができたり、好きな人がいる子も多かったのですが私とY君はとにかくコンクールが終わるまで毎日、部活の事ばかりを考えていました。

コンクール当日。結果は、地方大会を突破できずに夏を終えました。

部活こそあるものの、練習には少し余裕が出てきます。練習の行き帰りは相変わらず、Y君といつも一緒でした。いつの間にか、日が暮れるのも早くなっている事に気が付きませんでした。

その日は夏休みが終わるという事もあり、二人とも会話が弾み、Y君の家の前で話こみました。そうしてるうちに、ふいに彼の方から「家まで送る」という提案をされたのです。(近所とはいえ、若干距離があります)

私はすぐ近くだから大丈夫、と断りましたが「もう暗いから、女の子一人は危ない」と半ば強引に家まで送ってもらう事になりました。 送り届けてもらう少しの距離の間に、彼の口から出た「女の子」というワードに、妙に気持ちをざわつかせながら、隣に歩く彼を見ていると背が伸びた事に、気付かされました。

翌日から始まる学校の愚痴などを言いながら、私の家の前まで着いたのに何故か照れ臭くなって「ありがとう」と口にするのに時間がかかりました。

Y君は当たり前のように「まだ話足りないから、帰ったら電話する」と言って帰っていきます。その後ろ姿を見ながら、胸のざわざわとした違和感は、徐々に心臓を早く動かし、心拍数を加速させていく。

14歳思春期の真っ只中。

何故か切なくなる夏の終わり。

見慣れた後ろ姿に「好き」の二文字が脳内に浮かぶより先に、ありきたりな表現、締め付けられるような胸の痛みを感じて、私は恋心を自覚しました。

引用元:note

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