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介護施設でプロポーズ
mimitan
公開日|2022.03.15
更新日|2022.03.15
地元の進学校を出て、地元の有力企業で働いたのだが、親の介護をしていたら婚期を逃してしまった。
職場でも親戚の集まりでも、「どうして結婚をしないの?」と陰口を叩かれていたことは分かっていた。
結婚をしないと友達が離れて行った、残った数少ない友達も子供が出来ると離れて行った。
結婚をしないと決めてからは、老後を一人で生きるためにお金を貯めた、それが唯一の生きがいだった。
長年勤めた会社を定年退職すると、クラス会のお知らせが届くようになったが、行っても話が合わないと思い、クラス会には行かなかった。
長年貯めたお金で、優良な介護施設に入ることが出来た。
介護施設に夫婦揃って入居することはまずなく、殆どは私のように高齢者が単身で入居する。
単身ばかりの集まりは半世紀ぶり、私に話し掛けて来るのはお爺さんばかりだが、私もお婆さん。
お爺さんでも男性に話し掛けられるとドキドキする、動悸ではないよね?
介護施設でもメイクをするようになると、多くのお爺さんから声を掛けられるようになった。
お爺さんとお爺さんが、私のことで揉めたこともあった、こんなこと生まれて初めて。
「大丈夫?」、私に声を掛けて来たのは、長年、飲食店を経営していたAさん70歳。
Aさんは飲食店を経営していただけあり、介護施設の中で一番のオシャレさん。
Aさんと居る時が一番落ち着く、すると、それが顔に出てしまい
Aさん、「結婚をしようか?」
私、「えっ!?」
補聴器を付けて、もう一度言ってもらった。
Aさん、「聞こえる?」
私、「はい」
Aさん、「結婚をしようか?」
私、「はい」
私とAさんは結婚をし、現在は介護施設の同じ部屋で暮らしている。
男の人と一緒の部屋で過ごすのは生まれて初めてのこと、彼が隣で寝ているだけでドキドキする、動悸ではないよね?
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