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【ポリアモリー】「2人きりになりたい」と切願されて
きのコ
公開日|2022.10.26
更新日|2022.10.26
あなたは「恋人と2人きりになりたい」と思うだろうか?
今回は、私が恋人から「2人きりになりたい」と言われた時のことを話してみたい。
その日はポールダンスだった。
私の通うポールダンス教室の発表会。恋人マサと恋人ミツル、友人たち、好きな人、さらには昔の恋人も含め、私の大切な人たちが大勢来てくれた。
練習と宣伝の甲斐あって、発表会は大成功&大盛況。ステージメイクを落とした私は興奮冷めやらぬままに恋人たちや友人たちと合流し、楽しく踊れた喜びを噛みしめながら、カフェで皆と和気藹々とした時間を過ごした。
しかし、その夜。
帰宅したあと、ミツルから電話がかかってきた。妙にしょんぼりした彼の声に、どうしたの?と訊くと「発表会の後、2人きりで過ごす時間をつくってくれるかと思ってたのに……」と言う。
え、そうだったの?私はびっくりしてしまった。
ミツルは「ごめんね、自分のワガママだから気にしないで」と言っていたけれど、これはけっこう大事な問題だと感じた私は、後日、彼に会って話し合うことにした。
「最近、きのコさんのことが好きすぎて、少しでも長く2人きりでいたくなる」と言うミツル。
その気持ちはとても嬉しいし、私も彼と一緒にいたいのはもちろんのこと。とはいえ、彼を含めた皆で過ごす時間も、同じくらい大切なのだ。
むしろ恋人たちや友人たち皆で集まるチャンスなんてなかなかない。それぞれの人と2人きりで会うより難しいのではないだろうか(単純に、人数が多いほど全員のスケジュールを合わせるのは大変だし)。
だからこそ皆との時間も大事にしたいのだけど、その時間を削ってまで2人きりになりたいと言われると、私としてはつい、別のタイミングじゃダメなの……?と思ってしまう。
私自身は「恋人と2人きりになりたい」という欲求があまり強くない。もちろん2人きりがイヤとかではなくて、他の人がいても、それほど気にならない。
私にはよく分かっていないのだけど「恋人と2人きりになりたい」という気持ちって、どういうものなのだろう。コレがいわゆる「独占欲」だろうか?
独占欲が良いものとも悪いものとも私は思わないけれど、少なくともこういった感覚がミツルと私とで相当に違うことは事実。
基本的に、私は人間が他人を所有することはできないと考えている。所有できないのだから、独占も共有も譲渡も貸し借りもできない。だから独占欲というのは完全には満たされない欲求だし「満たされないものだ」という認識でいないと、苦しくなってしまうのではないだろうか。
ミツルと話していて「恋人と2人きりになりたい」という気持ちって、その各個人のもっているプライバシーの感覚とか、パーソナルスペースの感覚と関係あるのかもしれない、とふと思った。
「公衆の面前」って言葉があるとおり、プライベートな場所ではしてもいいけれど、パブリックな場所ではしてはいけないことがある。たとえばセックスすることとか、すっぱだかで歩き回ることとか。電車の中や路上でいちゃいちゃキスするカップルに、眉をひそめる人もいる。
私個人は、どうもこの“パブリック”とか“公衆”みたいな感覚が薄いのかもしれない。
パーソナルスペースも狭い方だし、誰にも曝したくないプライバシーというものも特にない。マサとの2人暮らしの部屋に友達が泊まりに来たり、時には数ヶ月も居候したり、ということもあるけれど、そういう時に「プライベートな空間が欲しい……」と思うこともない。
恋人と2人きりでも、他に誰かがいても、自分の感覚があまり変わらない。だから、わざわざ2人きりになりたいと強くは思わないのかもしれない。
ある意味で、恋人を“特別扱い”できない私。そんな私が、ミツルの「2人きりになりたい」という気持ちに、どう対応したものか……。
具体的には「恋人も含め皆で過ごす時間と、恋人と2人きりで過ごす時間を、それぞれ別に設ける」というのが最適解のような気はする。どちらの時間も、できるかぎり優先順位をつけずに大事にしたい。
しかし、もしも私や彼が忙しくて、どちらかの時間しか取れなかったら……?
ともあれ、いまは全ての「もしも」に焦ってあらかじめ答えを出すのではなく、その都度お互いの気持ちを伝えあって、丁寧に話をしてゆきたい。
私と恋人たちと友人たちも含めた、皆が心地よい過ごし方。まだまだ、手探りしつつ考えてゆくことになりそうだ。
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