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【ポリアモリー】2人目の恋人ができた話
きのコ
公開日|2022.10.10
更新日|2022.10.10
ミツルと最初に知り合ったのは、SNSを介してだった。
お互いにサバイバルゲームが大好きな彼と私。お気に入りの銃の話や、最近行ったサバゲフィールドの話で盛り上がるのはもちろん、私がSNSで発信するポリアモリーや恋愛・性の話題にも、彼は好意的で真面目な反応をしてくれていた。
ポリアモリーであることをオープンにしているとはいえ、まったく無関係な「サバイバルゲーム」という話題で私とつながる人もいるSNSでこの話をしていると、時折「こんなことをあけすけに語って、気持ち悪がられていないかな……」などと、心の片隅で不安になったりもする。そういう中でサバゲつながりにも関わらず、ポリアモリーとしての私の発言にも良い意味で興味をもってくれる彼に対して、私は「ポリアモリーの話にも引いたりしないし、それでいて勘違いして馴れ馴れしく迫ってくることもないし、器が大きくて話しやすい方だなぁ」と感じていた。
そのうちミツルと私は、一緒にサバゲに出かけるようになった。
彼とは、サバゲで走り回るのももちろんだけれど、お喋りするのもとにかく楽しい。サバゲの話、恋愛の話、仕事の話、音楽の話、どんな話をしていても面白くて、時間が経つのを忘れるくらいだった。
そんな中で彼に惹かれていることを自覚した私は、ある日のサバゲの帰り道、思い切って「好きです」と告白した。彼は驚きながらも「嬉しいよ。これからもよろしくね」と喜んでくれた。
数日後。ミツルと私は、改めてデートの約束をしようとして、日程の調整をしていた。彼も私も仕事やプライベートがかなり多忙で、スケジュールを合わせるのは至難の業。
その時もどうにか空いている日にデートをねじ込んだが、タイミングの悪いことに、前日になって彼に仕事の予定が入ってしまった。
社長から「非常に重要な会議だから、必ず出席してほしい」と言われた彼だったが、なんと「その日は恋人と非常に重要なデートなので、欠席させてください!」と真正面から社長に頼んだというのだ。
それを聞いた私は「えっ、私たちってもう付き合ってるの!?もしそうならすごく嬉しいけど、本当に私と恋人同士になっちゃっていいの……?」と、喜びつつも戸惑ってしまった。
それまで、私は「好きです」とは言ったものの、付き合うかどうかについてはまだ悩んでいた。私と恋人同士になるということは、相手を私の(けっこう波乱万丈な)人生に巻き込んでしまうことだと思っていたから。
「友達」や「恋人」という肩書きの区別にあまり重要性を感じていない私にとって、「好き」と「付き合いたい」は必ずしもイコールじゃない。ただ「恋人」という肩書きが、世間的に大きな意味をもつものであることは理解しているつもりだ。だからこそ、その肩書きを誰かと共有することには、どちらかというと慎重になってしまう。
デートのために会議を欠席してきてくれたミツルに、私は改めて自分の不安な気持ちを伝えた。
「私と恋人同士になると、周りから『ポリアモリーと付き合うってどうなの?』とか、恋愛やセックスについて、根掘り葉掘り訊かれるかもしれない。それに『あの人、ポリアモリーな彼女がいるんだって……』と噂されるかも。私自身は他人から何をどう言われてもいいけど、私が愛する人たち、私を愛する人たちを世間の好奇の目に晒したくない」
そんな私に、彼は笑って答えた。
「そういうことは、実際に誰かから何か言われたりした時に、どうすればいいか一緒に考えればいいよ」
私はハッとした。それって、私がいつも他の人に言っていることだ……。
ポリアモリーの(もちろんモノガミーだってそうだけど)付き合い方に正解はない。いろいろな状況が起こりえるし、そのたびに関係者同士でオープンに話し合っていこうよ、と自分ではいつも語っているのに、そんな自分自身のなかにもまだ「こうなったらきっと彼は迷惑するよね」という不安や思い込みがあったのかもしれない。
ミツルが「恋人同士になる」のがどういうことか彼なりに考えたうえで、私よりずっと前向きにこの恋人関係に飛び込んできてくれたことを、私はとても嬉しく心強く感じた。
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