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遠距離恋愛になる前日の神戸デート
むぅちゃん
公開日|2022.06.15
更新日|2022.06.15
3年ほど付き合っていた彼氏が、仕事の都合で関西から関東へ引っ越すことになりました。
急なことでしたが、これをきっかけに、お互いに今後のことを深く考えるようになり、喧嘩をしたり別れを告げたりと、落ち着かない日々でした。
結局は「しばらくは遠距離恋愛をしよう」と落ち着いたものの、喧嘩は尾を引いているし、離れる寂しさで気分は落ち込むし、残り少ない彼との時間も楽しめませんでした。彼の方は仕事に引っ越し作業に大忙しで、余裕のない日々でした。
彼の引っ越しを翌々日に控えた夜、彼に「神戸へ行こう」と誘われました。
「なぜ神戸?」と尋ねると、「前にテレビで中華街に行きたいって言ってたでしょ?」と。
普段は私との会話なんて何も覚えていないのに…と少し嬉しくなりました。
デート当日はオシャレをして、まるで付き合い始めの頃のようなドキドキした気持ちで中華街を歩きました。
普段しない食べ歩きは新鮮で、少しだけギクシャクしていた関係もいつの間にか消えていました。
夜が近づくにつれて、気持ちは落ち込んでいきました。
明日になれば彼は関東へ行ってしまう。
新幹線でたった3時間ほどとはいえ、これまで簡単に会えていた距離を思うと果てしなく遠くに感じられました。
海へ立ち寄り、潮風に吹かれながら他愛もない話をしました。
付き合い始めた頃のこと、付き合っていく中で変わっていった印象、そしてこれからのこと。
そろそろ帰ろうか、という段になって、彼は私に指輪をくれました。値の張る立派な指輪ではありません。
小さな誕生石のついたシンプルなシルバーリングです。遠距離恋愛に対する不安が薄らぐのを感じました。
私の不安を見越して形のあるものを渡してくれたのだと思います。
普段は鈍感で女心のわからない彼の気持ちがとても嬉しかったです。
その指輪は今でも大事にしまってあります。
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