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【ポリアモリー】だって2人とも好きだから
きのコ
公開日|2022.08.06
更新日|2022.08.06
ユウヤとの出会いは、とあるライブバーの貸切イベントだった。
気さくで人なつこい人だな、という印象をもったことを覚えている。
イベントで彼と意気投合した私は、その後2人きりでも会うようになり、ある日彼から「付き合ってください」と言われた。「自分が一方的に何か要求するとかじゃなくて、あなたのことが気になるし興味がある。考えていることをたくさん教えてほしい」とも。
そしてこの時、私はすでにマサと一緒に暮らしていたし、ユウヤも私と知り合った当初から、そのことを知っていた。
ここで、多くの人が思い描くようなかたちの恋愛なら、私はマサと付き合っていることを理由にユウヤの告白を断るか、あるいはマサと別れてユウヤと付き合うことを選ぶか、2つに1つだと思う。
実際には、私はユウヤに「嬉しい!これからよろしくね」と返し、私たちは晴れて付き合うことになった。その日は一緒にお昼ごはんを食べて、カフェで喋って、カラオケで歌って、ちょっとお互い照れはあったけど、ほやほやのカップルとして、楽しい時間を過ごした。
そして、その日帰ってから私はマサに「新しい恋人ができたよ!ユウヤっていうの、今度紹介するね」と嬉々として報告。マサは「おー、そうなんだ!おめでとう!」と祝福してくれた。
恋人に新しい恋の話をするのは、いつもちょっと不安だしドキドキするし、何より照れくさい。だけどマサは楽しそうに聴いてくれるので、私もついつい話したくなる。
ちなみに不安というのは、「マサは、私が好きなこの人のことをどう思うかな」あるいは「この人が好きな私のことをどう思うかな」というような気持ちだ。たとえていうなら、自分の親に好きな人を紹介する時のような感覚。もちろん、「そんな人とは付き合わないでほしい」または「その人と付き合うなら僕とは別れよう」と言われる可能性も、ゼロとは言いきれない。
マサは今でこそ私の話をなんでも聴いてくれるけど、過去には強い嫉妬心を見せたり、別れ話など深刻なやり取りになったことも何度もあった。
こんなかたちで、私はマサ・ユウヤの2人とお付き合いを始めた。 こういう「複数の人と、全員の合意のもとでお付き合いをする」というライフスタイルを「ポリアモリー」という。
私は、自分が複数の人を同時に好きになるポリアモラスな人間であることを数年前から周囲にカミングアウトし、それ以降のお付き合いは全て、「複数の人を好きになったり、複数の人とお付き合いしたりするかもしれない私」について合意を得ること、を前提としてきた。
恋人が常に複数いるわけではないし、複数いることを望んでいるわけでもない。でも、誰かを好きになったら(その後その人と付き合うことになるかどうかは別にして)、そのことをその時付き合っている恋人には隠さないようにしている。
こういう話をすると、よく「どうして2人と付き合ってるの?」「マサだけじゃダメなの?」と質問される。
そんな時の私の答えは、「だってマサとユウヤ、2人とも好きだから」という、いたってシンプルなもの。「マサが本命で、ユウヤが遊び」といった順位づけがあるわけではなく、2人とも好きだし、その「好き」には測って比較できるような「強さ」や「量」はない。それは、子供を複数人もつ人が「どの子がいちばん好き?」と訊かれて選べないのと同じような感覚かもしれない。
さらに「どうして2人の人を同時に好きになれるの?」と訊かれることも多い。なぜ自分が複数の人を好きになるのかは、私にも分からない。分かるのは、初恋をした小学生の時からそういうことが多かった、ということだけ。逆に「どうして1人しか好きじゃないの?」と訊かれて答えられる人も、あまりいないんじゃないかな。
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