嫉妬

急展開で2度目のお泊まりをした日の後はシュウの仕事が忙しくて都合が合わず、次は2週間後、その次は3週間あいた。

相変わらずシュウはLINEで毎日定期連絡をくれていたけど……
割とこれまで頻繁に会えていたので、さすがに3週間あいたときは耐えきれなくなってきて「今日は彼氏、帰ってこないから……ちょっとだけ電話できない?」なんてLINEで聞いてしまった。
「電話は今は無理だな、ごめん」
当然の答えに「だよね……うん、大丈夫。できればちょっとだけ声聞きたかったけど、我慢する。会えない分、会えたら嬉しさ倍増だからね!会える日を楽しみにしてる」と返した。
出会った日にシュウから電話番号を聞かれた時、「電話はかけてこられても出られない」と言ったのは私の方だったから、こんな事を言い出した私にシュウはきっと驚いただろう。
「うん、早く会えるようにがんばる」と返してくれるだけ大人だな、と思う。

やっと都合がついて、久しぶりの逢瀬。
普段より少し丁寧にメイクして、家を出る。
待ち合わせて軽く買い物をして、いつものようにホテルに入ったら、テレビをつけ、ソファーで乾杯して何気ない会話をする。
出会って数ヶ月だけど、何年も付き合ってるような錯覚をするのがこういう時。
でも、そこから先はまだまだ始まったばかりだからなのか……蜜のような時間。

出会った頃はシュウが私の太ももに手を乗せてくるのがきっかけだったけど、近頃は私がシュウに抱きついてキスをしたら始まる。
見つめて、キスを繰り返して、LINEではお互いに全く言わなくなった「大好き」を囁きあって、またキスして……
ギューッと強く抱きしめられるから、私も強く抱き返すと、またキスが始まって……
そのまま、セックスになだれこんでいく。
甘く熱いキスをたっぷり交わして、とけて混ざりそうなくらいに、たっぷりと時間をかけて愛撫しあって、ねっとりと抱き合った。

セックスの後はお互いにタバコを吸い終えたら、ベッドで戯れながら会話する。
週末の予定の話になって、私が呑みに行ったり趣味の予定を沢山入れているのを聞いたシュウが黙ったので、「すっごい遊びに行くから、心配?」と聞いてみた。
シュウは黙って頷く。
「何がそんなに心配?」
「…呑んだり遊んだりした帰り」
「男についていかないか、って?」
また黙って頷く。
「私は好きになると意外と一途だから、他の人についていったりしないよ」
まだ黙ってるから「全然信用ないなー」と苦笑いする。
そりゃそうだ、会ったその日にエッチしよ、と言ってきた女なんだから。
別に、シュウを不安にさせたいわけではない。
家庭のあるシュウとは、週末はまず会えない。
シュウと出会う前から週末は遊びに行く事が多いので、シュウと会えないなら予定を詰めるのは、私にとっては普通の事だ。
黙っていればいいのかもしれないが、あとになって遊びに行っていたとわかるほうが嫌じゃないかな…と思うから、いつも出かける予定は伝えているのだが。
「どうしたらいい?」
そう聞いてみても、黙ったまんま。
シュウは「男が居るなら行くな」と言いたいのかもしれないけど、それを言うと私が離れていく気がして言わずにいるのかな、と思う。
私は束縛が嫌いな事を、シュウにも初めに話してあるし。
「…あのね、その気になったら他の男の人と会う方が簡単なんだよ?」
だけどシュウが好きだから他の人には行かない…と続けようとしたら「だから心配なんじゃんか」と間髪入れずに言われてしまう。
「あー、そっか…」
「……」
「そんなこと言ったら、私だってシュウの事、心配だよ?モテそうだし」
「モテねーよ」
「わかんないじゃん、普段の様子なんて全然知らないし、見えないんだから」
「…まぁ、そうだけど」
「他の女の子となんかあるのかも、って思ったりもするよ?」
「なんもないよ」
「それと一緒だよ」
ムスッとしたままのシュウ。
「男は、好きじゃなくても抱けるんでしょ?」
「そんなことねーよ」
「好きじゃなきゃ抱けない?」
黙って頷くから「ほんとかよー?」と声が出る。
女からグイグイこられてホテル誘われて浮気したことあるって言ってたじゃねーかよー。
…と思いながらも、それは言わない。
言ったら、本格的にケンカになりそうだし。
何より、ワタシを抱く時のシュウはすごく幸せそうに見つめてくるから「好きじゃなきゃ抱けない」と言われても、ちょっと信じそうになる。
「…まぁ、信じとく」
鼻にチョンと触れて笑うと、ムッとしたような照れたような変な顔をした。
気分を変えて質問する。
「じゃあ、クイズ。私はシュウのどこを好きでしょーか?」
「…えー?…良いところなんか無いだろ」
「おい!こっちは好きなんだぞ!」
「うーん………優しさ?」
「あー、まぁ、優しいけどね。違う」
「えー、わかんねぇ、何?」
「会うと、めちゃくちゃ嬉しそうな顔するとこ」
「あー…」
照れくさそうに笑う。
「あとはー、普段は多分頼られるタイプなのに、めちゃくちゃ甘えてくるとこが可愛い」
「…うん」
「あとはー……顔?」
「顔ー?」
えー?って笑うけど、満更でもなさそう。
「あとね……意外と、ちゃんと考えてくれてそうなとこ」
不倫に、ちゃんとも何も無いんだけど…
シュウは割り切って「遊び」って感じではない。
不倫って線引きはあるけど、割とちゃんと好きでいてくれてるような…そんな感じが最初からずっとある。
…そう思わせるのが、上手なだけかもだけど。
「シュウ、だいすき」
ニコッて笑ったら「俺も大好き」ってニコッと機嫌なおしてキスしてくれた。

「ヤバい、急に眠くなってきた……ちょっと寝ていい?」
「うん、いいよ」
いつもならとっくに眠いと言い出すのに、全然言わないなぁと思っていた。
アラームをかけて、横になる。
いつもはシュウが腕枕してくれるけど、「おいで」って私が腕枕してみた。
「重くない?」
「全然」
目を閉じてすぐに眠り出すシュウの寝顔を見ながら、自分のとは全然違う手触りをした、かためな髪をそっと撫でながら、私も気持ちよくなってウトウトとしてきた。

眠気が来る前のシュウに「やりたいこととか、ある?」と聞いたら「好きな時に遊びに行って、好きな時に呑みに行ける自由がほしい」って言った。
好きなようにしている私には、身につまされる答えだ。
「あと2年したら子ども達も巣立つし、自由になれる」と言うけど、本当にシュウの思うような自由を得られるんだろうか。
その頃まで、私はシュウとこうして会えてるんだろうか。
わからないけど…
シュウが今よりも幸せになれたらいいな。
そう思いながら、私も目を閉じた。

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