セフレにも満たない関係

なみ女性

公開日｜2024.12.02

更新日｜2024.12.02

タクマとの密会は、行き当たりばったりでしかない。

呑み会の後にどちらかが連絡して、知り合いに見つからないようにこっそり会って、やる事やったら解散。
本当に、ただセックスして終わり。
味気ないわけでもなく、精神的に楽だなと思う。

3度目の密会後、3週間ぶりに呑み会で顔を合わせたタクマは「おー」と一言話しただけで、気分が乗らなかったのか友人との二次会を楽しんでいたのか、「お疲れ」と送ってみたけど既読はつかず。
その日はビジネスホテルに泊まっていた私。
少し期待していたから、すっかり火照った身体をタクマに抱かれた時を思い出しながら自慰で鎮めるしかなかった。
私の連絡に既読がついたのは、翌朝だった。

そろそろ飽きられて終了かもしれないな…
そう思っていたら、数日後にSNSの投稿にリアクションしてきて、そのままDMで「最近どう？オナニーしてるの？」と聞かれた。
「まぁね」
「毎日してる？」
「まぁ、ほぼ毎日だね」
「いいね👍」
「全然よくないよ、ただただムラムラしてるばっかりで」
「マッチングアプリ使ったら？」
「うーん、顔で無理～とか言われたら凹むじゃん……特別いい武器があるわけじゃなし」
「無限の性欲を武器に、すぐセフレできると思うよ」
「そこだけだもん……まぁがんばります」
「彼氏は？」
タクマが「彼氏」というのはシュウの事。
「お別れしちゃった」
「え！？マジで？なんで別れた？」
「会えないし、会ってもうまくいかなくなった」
「そうか……まぁ、次だ次！で、エロ下着、買った？」
タクマは事ある毎に「オモチャ使った方がいいし、セクシーな下着いっぱい集めた方がいいよ」と勧めてくる。
「なみさんは性欲強いから、そういうの使って性欲鎮めないと」って。
ラブホにある電マをシュウに1度使われた時は何だか嫌だったけど、タクマは初めてした日にローションも電マも用意していて、使われた時は気持ちよくてベショベショに濡れてすごい声が出てしまって……
相手が変わると道具の使用感まで違うものなのか……と驚いた。
タクマの手ほどきを受けたのをきっかけに、自分で道具を買って試してみたりもしている。
「俺を誘うんじゃなくて、自慰行為で鎮めなさいね」という意味なんだろうけど……
呑み会の後で「ムラムラしてる？」と聞いてくる時は、下着どんなのつけてる？オモチャ持ってきた？と聞いてくるから、タクマの性的嗜好だというのも大いにあるのだろう。
セクシーな下着は相手ありきじゃないの？と聞いたら、自分を高めるためのものでもあるから絶対着けた方がいい、と答えたタクマ。
確かに着けた方が興奮度は上がりそうだな……と納得したから買ってみた。
「買ったよ、でも別れたから見せる相手居ないよね」
「見せてみな」
気まずいから真っ暗で、とセックスもいつも暗がりでするくせに急にそんなことを言い出したから「暗闇で撮らなきゃダメなんでしょ？笑」と返したら「任す」って……
どうしたんだろう。
家には同棲相手だっているし、すぐさま撮って送れる状況じゃない。
「自分で撮るの、大変なんだよー？」って返したら「そっか」とすぐ引いた。
「機会あったらね」
「チャンスを逃したな」
「私が？」
「うん」
「見て、って言った方が良かった？」
「大丈夫だよ」
「そういうのは会える時に言わなきゃじゃん」
そう返したら、返事がなかった。
タクマは県外に住んでいるし、既婚で子どもも小さいし、忙しく過ごしていてなかなか簡単には会えない。
会えないけど、タクマもムラムラしてて、あんなこと言ってきたのかな……
数時間後、同棲相手が眠ったのを見計らって乳首も透けてしまう黒いセクシー下着を着けて、顔は写らないように撮った。
「フェイント」と添えてタクマに送ってみたら、翌朝既読がついて「攻めますね、ケツはどうなってる？」と返事が来た。
「水着みたいな形だからおしりは隠れてるけど、着たままプレイできる穴が開いてる」
「ナイス👍お互い腹筋がんばろ」
気にしてるのにお腹の事チクリとついてくるあたりも意地悪だな…と思いながら
「腰痛めないようにがんばろ、写真は適当に消しとくね」
と返した。

タクマとのタイミングが合わない間、たまたま1人で呑みに行った時に何人かの人に誘われた。
そのうちの数人とワンナイトを過ごしたりもした。
タクマに甘え続けるのも良くないかな、早くセフレを作ってタクマとはもう終わりにした方がいいかな……って。
でもタクマが上手すぎて、やっぱり誰としても物足りなくて…
結局、他の人とすればするほど、タクマでなきゃ満足できなくなってる事を思い知らされるだけだった。

次に抱いてもらえるのがいつなのか、もうそのチャンスは来ないのか、何も予測がつかないけど……タクマにハッキリと拒絶されるまでは、この関係を続けていきたい。