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ワンナイトの彼
なみ 女性
公開日|2024.11.04
更新日|2024.11.04
シュウに次に会えたのは、3ヶ月後。
出張のタイミングでこちらに来たときだった。
悪天候で電車が止まってしまって夕方到着するはずだったシュウは県外で足どめを食らって、私は地元の駅で何時間も待ちぼうけ状態。
「何時になるかわからない…待てる?無理ならもう諦めるけど…」
「ここまで待ったし、顔見たいから待つ…」
4時間待ってやっと会えたけど、夜中であまりゆっくりできなくて…
軽く呑んで、ビジネスホテルで抱き合って眠った。
やっぱり前回同様、シュウはあっという間に射精して満足そうだったけど……当然、私は不完全燃焼。
翌朝も中折れしてできずで……欲求不満が溜まる一方。
今までならもう少し我慢ができた。
今、こんなに欲求不満なのは多分、私がワンナイトの彼との激しい夜を経験してしまったせい。
シュウとのセックスではもう満足できなくなってる……
ワンナイトの彼、タクマの事は昔から見た目が凄くタイプだし、抱かれてみて「合うな」と思ったし、付き合いたいとかではないけど…時々会って身体の関係だけもてたらな…という淡い期待を抱きながら、ワンナイトの数日後、「気が向いてお互い都合ついたら、また抱いて」と伝えたら「これ以上は気まずい、忘れよう」と言われてしまった。
私じゃ満足させられなかったかな…合うと思ったんだけど。
「わかった。顔見ても気まずくなんないでね」と伝えて、呑み会で顔を合わせた時にも私から「おはよ」と挨拶した。
目を逸らしながら「おー」と答えて離れて座ったタクマだったけど、呑んでてふと目が合ったから皆から見えないように小さく手を振ったら、照れくさそうに俯きながら小さく手を振り返してくれた。
いつも落ち着いてて余裕があるタクマのそんな可愛いところを見るのは初めてで「あ、嫌われた訳ではないんだな」と安心した半面、断られた理由が気になった。
誘惑に負けて抱いてしまったけど、良心の呵責でもあるのかな…だとしたら、申し訳ない…
チャンスが無いだけで、あるなら全然セフレとか作りたがってる様子だったから「冗談抜きで、抱いて」って言ってしまったのは私だ。
困らせちゃ悪いし、その後の呑み会で会っても、挨拶して一言二言交わす今までの感じを続けた。
なのに、ふとした時にSNSにDMで反応してきて、そのまま「欲求不満なの?」などとタクマの方から性的な質問をアレコレしてきたりもする。
忘れようと言われたけど、あの夜のことは忘れられるわけなくて……こっちから「また抱いて」とはもう言えないけど、タクマが「したい」と言い出してくれたらな…と期待して待つ状態。
タクマも、DMでちょっかいかけてくるってことはナシではないはずだけど…
みんなにバレてしまう事を警戒しているんだろうし、私に惚れられて面倒なことになりたくないんだろう。
DMで「なみさん、すごいメス感出してくるんだよな最近……」って言うから「前から言ってるけど、私はあなたの見た目がタイプだから」と答えたら「そんなやつ居ねぇよ」って。
落ち着いて見える、地味だけど男っぽい顔立ちも、背が高くて逞しい身体も凄く私好みなタクマ。
「ここに居るのよ、あなたの見た目がすごく好きな人が」
「あんまり言われたことない」
「私はずっと言ってるじゃん、カッコイイって」
「どうせ俺のカラダ目当てなんでしょー笑」
「こんな事になるずっと前から見た目が好きじゃん」
「床も好きだろ?」
「それも好きだけど、なんせ見た目が好き」
「怖い怖い。笑」
「怖がらせて悪いけど(笑)だからどうしてくれってわけじゃない、性格はよく知らないし、勝手にずっと見た目が好きでいるだけ」
そんな話をしたし、私には同棲している彼氏以外に大人の関係の相手が居る事や、今はなかなか会えてなくてかなり欲求不満な事、どんな風に大人の関係になったのかまで聞かれるままに話したからなのか…
ワンナイトから4ヶ月後の呑み会が終わってから、「帰った?」とDMが来て。
「まだ」
「疲れた?」
「ううん、ちょっと休憩したし大丈夫」
「ムラムラしてる?」
「あなたは?」
「俺が聞いてるの」
「わかってるくせに、いじわるだな」
「わかんない」
「ばか……2度目はないんじゃなかったの?」
「ムラムラしてる?」
「してる」
そう答えたら、ホテルの部屋番号が送られてきた。
イチャイチャしながらねっとりするセックスが好きな私だけど、タクマとのセックスは全然違う。
「知り合いすぎて、普通にはできない」って言うから、真っ暗な部屋でごくごくソフトなSM寄りでキスもなし。
でも何もかも物凄く気持ちよくて、射精した後も2回、3回としてくれるのがたまらない。
初めてした日はタクマの大きなアレをいれる時はメリメリ音がしそうなくらいで少し痛かったりしたけど、2回目はそうでもなくて。
思った通り、回数を重ねていくとどんどん良くなるやつだ。
私はすごく気持ちいいけど…
タクマはどうなんだろう。
時々声を漏らすこともあるけど、割と冷静でポーカーフェイスだから、よくわからない。
そんなタクマがこの日は2回目の後、「さっきのは凄く興奮した」と言ったから、私は「ほんと?!よかった」と喜んだのも束の間、3回目の後に私が帰ろうと身支度をしている時に「こんな事してたら良くない」ってボソッと呟いた。
「…じゃあ、これで最後だね」と笑う。
できればセックスだけする関係を続けられたら最高だけど、嫌々するようなものでもない。
「ありがと、おやすみ」
「気をつけて帰れよ」
「うん」
その2週間後にまた呑み会で顔を合わすのはわかっていたけど、2回目の密会で最後だと思っていて期待もしていなかったから、呑み会の日の昼間に「ホテルいっぱいでとれなかった」とDMが来て驚いた。
「え、泊まりなの?忙しそうだから早めに帰るのかと思ってた」
そう答えたら返事はなくて。
呑み会の後、姿を消してたから「宿、どうしたの?」と気になってDMしてみたら「見つからなくて、マン喫」と返事が来た。
「そっか、お疲れ」
「もう帰ったの?」
「ううん、今日は終電で帰れないだろうと思って車で来てるから、車中泊して朝帰る」
「ムラムラしてんの?」
終わりたいんじゃなかったの?…と思いながら「してるけど…どうしようもないよね。笑」と返す。
「車でいじられたい?」
「いや、お風呂入りたいよね…汚いの悪いし」
「除菌シートはある」
「拭いたら痛そうだな…車、あなたには狭そうだし」
「現実的に厳しいならまたにしよう、寝るよ」
あくまでもムラムラしてるあなたを鎮めてあげるだけです、って感じのタクマにちょっとムカつきながら「ざんねーん、ラストチャンスかもなのに」と返したら
「何だよ笑 現実的に無理なんだろ?ムラムラが止まんねーんだな」
「そんなの、ムラムラしてるに決まってるでしょ!」
「このやりとりもういいよ、やるかやらないかだけだから難しかったら寝る」
「んー、ワンチャンいってみる?」
そう返事したら、車どこ?と歩いてきて。
助手席に乗り込むと「早く拭いて」と除菌シートを渡してきた。
「…ムカつく」
受け取って沁みるのを我慢して拭きながら呟くと「ほら、後ろまでちゃんと拭いて」と急かしてくる。
最中はイニシアチブを取りたがるし、会話してても私の方が歳上なのに「生意気だな」と言ったりする。
言われると「生意気とか言わないでよ」と口ごたえしちゃうんだけど…セックスとなると、Sっ気を出されると少しゾクゾクする部分もあって。
タクマも自分に対して生意気な口をきいてくる私が最中はメスの顔でおねだりするのが興奮するらしく、「言うこときいて」「ちゃんとおねだりしてみな」って囁いてくる。
狭い車の中でバックでハメられて「欲しかったんでしょ、これ」と言われて、「うん…欲しかった」と振り返りながら答えたらめちゃくちゃに突かれて、一緒にイッて。
2回目は私がイッた直後に「精子飲みたい?」と聞くから頷くと、「出るから咥えて」と言われるがままに咥えたら口の中に全部出されたから、そのまま飲み込んだ。
事が終わると「おやすみ」とあっさりマン喫に戻っていったタクマ。
3度の密会で身体はもう10回近く結合させているのに、手を繋いだこともキスをしたこともない。
これくらい割り切った関係だと、悩むこともないし楽だな…というのが正直な気持ち。
そりゃ女だし、沢山キスして好きとか可愛いとかいっぱい言われながらするセックスの方がキュンキュンするし幸せだけど…
身体の相性が物凄く合うのなら、割り切って身体だけの関係でも全然満たされるものだなぁと思う。
タクマが私の身体を相性がいいと感じてくれてるかどうかは、わからないけど。
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