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未練の残る別れ方
ミトコンドリア 男性
公開日|2024.02.04
更新日|2024.02.04
彼女とは高校3年の夏からつきあい始めた。
私は男子校で、彼女は女子校に通っていた。
お互いに大学付属の高校に通っていたが、そのままエスカレーター式に大学進学を考えていた私と違い、彼女は他大受験を考えていたために受験勉強の真っ只中。
それでも、毎日の電話と時折、息抜きもしていた。
彼女の努力も実ってお互いに大学に進学は出来たが、進学した大学の場所が少し離れていたため、次第に合う回数が減っていった。
彼女は海外文化を勉強するサークルに入り、そのサークル活動が忙しくなっていったため、会う回数も、電話で話す回数も減っていった。
そのサークルでは海外研修もあり、大学1年の夏、彼女は東南アジアへ3週間の研修旅行へ出掛けた。
そして、その頃から、彼女が同じ友人の話ばかりをするようになってきた。
「Aちゃんがね」「Aちゃんだったら」女子校で女の子同士の付き合いに嫌気が差していた彼女に仲のよい女友達が出来たとばかり思っていたのだが、しばらくすると、その「Aちゃん」が実は男なのだと知った。
男性でも女性でも使うような名前だったのだ。
嫌な予感しかしなかった。
会う回数や話す回数は減っているのに、久しぶりに話をしてもAという男の話ばかり。
そして、私といても彼女がつまらなそうにしていることも増えていった。
もうダメなんだろうなと思った。
翌年の夏、彼女は再び海外研修へ行った。
今度は北アフリカだった。
出発の日、見送りに行くという私を彼女は「来なくていい」と拒んだ。
それでも私は空港まで彼女の姿を見に行った。
そこで見たのは、見知らぬ男と腕を組み、男にしなだれるようにベンチに座る彼女の姿だった。
私は黙って家に帰り、彼女の帰国後、その話をした。
そして彼女から聞かされたのは、1年前の東南アジアでの研修からずっとAに口説かれていて、春頃につきあい始めたというのだ。
つまり私は二股をかけられていたと言うわけだ。
しかも、別れを切り出せない彼女の気持ちを知ったAと画策し、私がフェードアウトしていくのを待つつもりだったらしい。
それならはっきりフラれる方がずっとよかった。
おかげで私はその恋を長く長く引きずることになってしまった。
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