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肝試しのペアになったマツダくんに恋をした
塩すずめちゃん
公開日|2022.06.05
更新日|2022.06.05
小学4年生の林間学校で肝試しのペアになったマツダくんに恋をした。
ぬかるんだ山道に足を取られた時、 とっさに腕をつかんでくれた
その瞬間からマツダくんのことが頭から離れなくなった。
後日林間学校の写真が壁に貼り出され、販売会に参加した。
マツダくんのベストショットを入手するために、
カムフラージュで知らない人の写真も大量に購入した。
マツダくんのベストショットは写真たてに入れて枕の下に隠した。
マツダくんの名前を書いたおまじない用の消しゴムは、
人に貸す用の消しゴムと別にして2個持ち歩いた。
小学6年生、修学旅行の夜。女子部屋のみんなで自分の好きな子を発表しあった。
私はタカハシくんが好きだと言った。
マツダくんとの名前を出したら、口からマツダくんが逃げていってしまうような気がした。
私の頭の中のマツダくんに誰も近づけたくなかった。
中学で陸上部に入部したマツダくんは、足腰を鍛えるために、
立ってる時も歩いてる時もつま先立ちだった。
修学旅行のマツダくんの私服はスエットとズボンの丈が絶妙に短くて、
家庭科の授業で作った迷彩模様のナップサックをパンパンにしていて最強にダサかった。
ダサくて愛おしかった。
夜の女子部屋は、誰が誰を好きだとかそういう話題が、
誰と誰がヤったとかいう話にすり替わった。
マツダくんにバッタリ会いたくて部屋を抜け出した。
売店でお土産を選ぶのに2時間かけた。
マツダくんを好きになった4年の林間学校以来、1度も喋ることはなかった。
それでもよかった。
マツダくんは男の子が好きだった。そんなこともどうでもよかった。
何も理由はなくて、ただただ特別だった。
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