名器

まゆ

まゆ

公開日|2023.11.28

更新日|2023.11.29

8月に知り合って、気付けばもうすぐクリスマス。紅葉を見に行ってからまだ一週間しか経っていないのに、もう会いたくてたまらずにスマホのカレンダーを眺めながらため息ばかりついてしまう。しょっちゅう会うのは危険なので、会うのは月二回くらいが多分丁度良いんだと思う。ダイキとはそのペースで一年付き合った。ダイキとの交際中は月二回だったとしても、さして寂しいとも思わなかった。むしろ頭のおかしい罵倒ばかり浴びるので会うのが苦痛な時もあったり。やすの場合は全く違う、互いに思いやれるし話していて楽しいし、何をしている時も幸せ。何なら会っていない時間すらも、彼はメッセージの文面や会った時の思い出で私を幸せにしてくれている。

そんな彼は障害者施設の責任者でもあるので、日勤だけでなく夜勤もある。夜勤のある日は始業、休憩、終業、帰宅前の車に乗ってから必ずメッセージが入るのが常。その日もメッセージが「明日は夜勤なんだ」と来た。まだ会ってから一週間しか経っていないのに、もう会いたい。でも夜勤の日や翌日は疲れているだろうから会いたいとも言えない。そもそも彼は夜勤明けの体のまま、いつも何一つやらない女房に代わって子供3人の朝食作りに支度のサポートに幼稚園の送迎までしているのだ。会う暇が無い。

「いつもお疲れ様、お子さん達の用が終わったらゆっくり寝てね」そう文字を返すと「夜勤明け会えないかな、今日は夜勤の明ける時間がいつもより遅いと伝えてあるから、子供は義母が面倒見てくれる事になってる。まゆが休みで家に居るなら、午前中2時間くらいしか居られないけど会いたい。ただカフェでコーヒー飲んで話すだけでも」そう返信が来て、嬉しいが少し迷う。会いたい反面、夜勤明けの彼には少しでも早く休んで欲しいという気持ちも強い。遠慮がちに「嬉しいけど体が心配、寝ないまま来る事になるでしょ?」と送ると「少しは仮眠出来るから大丈夫、どうしても顔見たい」と返り結局承諾した。

翌日午前11時、いつもの待ち合わせ場所に車が停まり乗り込むと、彼は若干疲れた顔をしているし髭もいつもより濃い。それでも3時間の睡眠時間は確保出来たようで眠気は無いらしい。「会いたかったんだ、だから嬉しい」そう言って彼がいつものように私の手を取り握ると自分の太股に置いた。その太股の少し上…ズボン越しの股関がもう膨れている。私の視線に気付いた彼が笑いながら「これは仕方ないんだ、まゆにキスしたり手に触れるとどうしても勃っちゃうんだよ。気にしないで」と言う。

「私は嬉しいよ、疲れてなかったらホテル行ってもいいし」

「やりたいから来たと思われるのは嫌だ、いいんだ、しなくてもコーヒー飲んだり出来るだけで」

「そんな事思わないよ、私もやすとするの好きだから」

「そう言われたら、抑えられなくなるよ…」

そんな会話を経て、行き慣れたホテルに車を飛ばし部屋に入るなり抱きしめられた。いつもは私の要望で部屋を暗くしてから事を始めるが、この日は部屋がまだ明るいまま、そして立ったまま着ていたパーカーのジッパーを下ろされブラジャーをずらされ乳首に吸い付かれた。夜勤明けでいつもより伸びた髭に肌をなぞられ少し痛い。でも私はその感触も大好き。

乳房を触りながら激しくキスされ、ベッドに押し倒された。さすがに脱がされる前には少し暗くして欲しいと思っていると、彼はそんな私の思いも汲んでくれて片手で私を脱がす傍ら、もう片方の手で証明を調整してくれた。脱いだ服をベッドの周りに散らし再び激しく抱き合う。首筋に唇を這わせてる彼に「ね、そのまま吸って痕付けて」とおねだりしてみた。

「さすがに首筋はまずくない?」

「コンシーラーとファンデーションで隠せるから大丈夫だよ」

私が言うと、小さく笑って彼が再び私の首筋に唇を付け肌を吸う。私は彼に痕を付けて貰う行為も大好き。以前は胸元に付けて貰ったが、この日はあえて目立つ場所に欲しくなった。危うい行為でもあるが、コンシーラーは傷や火傷痕までカバーする。消えるまでの数日それで隠しながら、入浴前のクレンジング後のひと時に彼が私の体に残した痕跡を鏡に映して眺めたい。私の首に吸い付いた彼の唇が乳首に降り、丁寧に愛撫された後はおへそに軽くキス、そして足の間に入る。丁寧で上手な舌の動きにたちまち私は翻弄され、腰が浮いた。その舌は足をより広げさせられアナルにまで伸びる。恥ずかしさと快感におかしくなりそうになりながら、はしたない声を上げてしまった。私が充分濡れたら今度は彼が気持ちよくなる番、仰向けに寝た彼の大きなものを咥えしばし舐めたら、私も舌を段々と下部に移動させ彼のアナルに舌を這わせた。「嫌じゃないか?無理にしなくていいよ」そう言う彼に「嫌じゃないよ、してあげたいの」と答え再び舐める。と、彼が「凄い気持ちいい…」と小さく言った。

互いに充分高まったら、彼が私を仰向けに寝かせる。そしてサイズも大きく固さも最高の彼のペニスが私の中に入ったが、ふと彼が動きを止めた。その上不思議な言葉を発したので私は思わずポカンとしてしまった。根本までではないにしろしっかり挿入されているにも関わらず、彼は「入らない」と言った。そう言われた瞬間、大分前に一度寝たトランスジェンダーのMさんが指を入れながら言った言葉が脳裏に過る。

「え!?何これ、初めてかも。全体も締まってるけど少し奥が凄く狭くなってて、その向こうにも空間がある」Mさんはペニスが無いので指だったが、彼は同じ感覚をペニスで感じたらしい。「今までは浅いと思ってた、でも違う、まだ奥がある」と言う彼は、ペニスが長いから狭くなった更に奥に先端が少し入っているらしい。「じゃあ、その一番奥って入れられるの?」と聞くと「痛かったら言ってね」と断り彼が強くピストンした。確かに段違いに子宮に強い振動が伝わる。「名器だ、タコツボってやつかな。俺はまゆ以外このタイプとした事無いけど多分そうだ」乗られながら言われるが、感じ始めている私はまともに返答が返せない。やっと「そう、なの…」と言うと、彼は覆い被さり「いつも気持ちいい、でも一番奥まで挿れるとめちゃくちゃ気持ちいいよ」と耳元で言った。彼も私の膣は奥行きが浅いと思っていたらしい。だが更に空間があると分かり、そこに届くまで強めにピストンすると快感は段違いだという。

こんな歳になるまで、自分がいわゆる名器の持ち主とは知らなかったから驚いた。ただ今までMさんはそんな感想を言い、ダイキも「奥行きが浅めで締まるから最高」と言い、他に寝た男の中にも狭さを絶賛する人がいた。旦那は単にモノが粗末で短いので届かなかっただけたが、寝た中で一番大きなサイズのやすは初めてペニスでその構造を感じたらしい。正常位で私の胸を掴みながら腰を動かす彼に中に射精され、ベッドでしばらく二人で微睡んだ後は二回目。二回目は今日は「まゆの口に出したい」と言われ彼の精液を飲んだ。私は飲精も抵抗が無いし、むしろ好いた男のなら喜んで飲めるので彼も喜ぶ。

いつもより時間が無い中二回して、最後は大きなサイズのジャグジーバスに二人で入り身支度。私はうっかりそのまま外に出ないよう首筋のキスマークを化粧で隠す作業も。鏡に首を映すと、彼の唇の形のまま内出血していて思わず小さく笑ってしまった。まるで彼の唇の形を転写したみたいだから。いつもいつも、一緒に居る時間はあっという間に過ぎてしまう。「次はイルミネーション見に行こう」帰りの車で手を握り言う彼に、私も頷いた。ただ12月は師走というくらいでどの企業も忙しい。まして忘年会なども入るから、会うのは難しいかも。それを思うと残念だが、代わりに予定していなかった今日会えた事を喜ぼう。いつものようにキスして車を降り、手を振り見送る。

彼のくれるものなら精液もキスマークも、何でも嬉しい。来年もずっと付き合って行きたい。切に思う。

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