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悲しいけれど、純愛をした友人
悠介 男性
公開日|2022.10.19
更新日|2022.10.19
F男の恋愛話を聞いた。
中学校時代、少し気になっていたB子のことがとても好きになっていた。
きっかけは、家庭科の調理実習のとき。
多めに作ったお好み焼きをわざわざ自分のところにもってきて、「食べて」と言ってくれた。
B子にしてみれば、たわいもないことだったのかもしれないが、F男にとっては、とてもうれしいことだった。
中学校時代の最後のクリスマスにみんなでパーティをすることになった。
会場としてB子の家が設定され、みんなでおおいに盛り上がった。
ケンタッキーフライドチキンをその時初めて食べて、こんなにうまいものがこの世にあることをマジで知った。
星が降ってきそうな夜空をみんなで見上げる時間もあった。
「みんな楽しそうでよかった。」「本当にここを会場に提供してくれたB子のおかげだよ。」そんなたわいもない会話ぐらいしかできなかったが、B子の家のベランダで、B子の笑顔を見ながら、クリスマスを感じることができて、このまま死んでもいいなぁと思うくらいの幸せを感じていた。
高校時代は、別々の高校で接点もなく過ぎていった。
再開するのは、大学時代のF男のバイト先だった。
スーパーのアルバイトをしながら、大学に通う生活をしているときに、お客としてひょっこり現れたのが、B子だった。
話を聞くと、最近このスーパーの近くに引っ越したのだという事だった。
それから、ちょくちょくスーパーに買い物に来てくれて、話をする機会が何度かあった。
ある日、友人の車を借りて、B子を誘って、ドライブに出かけたことがあった。
F男としては、勇気を振り絞って、思い切って声をかけてみた行為だった。
そのドライブの最中、B子自身も車の免許が必要になってきているという話になった。
費用が結構かかるので、なかなか大変だということを聞いた。
あと8万円ぐらい費用が足りないらしかった。
F男としては、それなりの貯金もあったので、8万円ぐらいなら貸せるよと申し出た。
正直下心がまったくなかったわけでもなかったが、B子の助けになりたい、B子にかっこいいところも見せたい気持ちもあった。
結局、8万円ほど、お金を貸すことになった。
貸した金は、返ってこないから、あげたつもりで貸しなさいとよく目上の人に言われていた。
それから、月日が流れて、約1年後、B子がまた現れた。
それも、お金を返しに来たのだった。
借りた金を返すという当たり前なことではあるのだが、B子の正直な行動に心底惚れ直し、つきあってほしいと思いを告げた。
しかし、よくよく話を聞くと、結婚を前提にお付き合いをしている人がいるらしかった。
その人と一緒になって、お店をやるつもりだということも聞いた。
すごく残念で悔しい思いとB子に幸せになってほしいという思いが、絡み合ったカオスな心持ちだった。
数年後、お店を開いたという葉書がF男の元に届いた。
甘酸っぱい青春の1ページとして、その葉書は大切にしまい込んであるということでした。
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