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無駄
まゆ
公開日|2023.01.30
更新日|2023.01.30
寂しいけど、別れられてホッとした。ダイキとの付き合いにはエネルギーが要るから。彼には恐らく発達障害がある、普段から注意散漫でよくぶつけたり躓いたりしていたが、あれは距離感が測れないから。こちらの言っている事が理解出来ない、人の要望は聞かないが自分の要求は押し通す、何かあると激怒する、反省が全く出来ない…それらも当てはまる。ダイキは旦那でも私が生んだ息子でも何でもなく、元をただせばタダの他人。別れに離婚届も何も必要無い。去れば済むだけ。
お前に気持ちはもう無い、嫌い。他の女を探すよ。でもお前の体には未練があるから他が見つかるまで抱かせろ。
女として屈辱の極みのような言葉を吐かれ、最後に私もこの男に少し意地悪をしてやろう。そんな気持ちがふと過り「自分を嫌う男に抱かれるのは、さすがに苦痛だから断るわ(笑)あと私も別れたら寂しくなるから、他を探すね。今までは誰も探さないって言っていたけど、実際に別れたら寂しいと感じた。見つかるか分からないけど」と軽く言ってみた。これが良くなかった。私も甘かった、私に気持ちがもう無いなら、私が他に男を作ろうが関係無いはず。でも私の体は気に入ってると言っているから、その体を他の男に使われるのは少し面白くない。その程度に思って貰い小さな仕返しが出来れば良かったが、言った瞬間からダイキの声色が変わった。「ああ?だったら好きにしろよ!もう全てどうでもいい!何なんだよお前!」今までも散々聞いてきた怒声が響く。
「抱かれるのは俺だけでいいだろ!他なんか探すな!」というダイキに「自分は探すくせに私は探しちゃいけないの?」と聞くと「お前が一生抱かせてくれるなら、誰も探さない。だってそれくらいお前は良い体してるから。というより、誰かまた見つかったとしてもまゆ以上にセックスの相性良い女はいないと思う。満足出来ない」そう返った。「だから探すな、一生俺にだけ抱かれて」「…自分を嫌う人とセックスしないとならないの?」「嫌いなのはこういう喧嘩が起きるところ。全部が嫌いじゃない。他行くなんてせず、より戻していいよ」「それはしなくていいです、もう」「そういうところが面倒臭いんだよ!黙ってハイって言えばいいのに!」そんなやりとりに辟易しながら「こんな体の何が一体、そんなに良いの?」疑問で仕方なかった事を聞く。「まゆのは狭いんだよ。奥行きも浅いからすぐ奥まで届くし締め付けるし、キスしてる時の反応とか声とか、触り心地とかもう全てが良い。他の女は考えられないくらい」
今更誉められた所で嬉しくもないが、そこまで自分の体は良いものなのか、という自信にはなった。「絶対他に行くな、まゆは俺にだけ抱かれて。俺も他の女は抱かない」再度言われる。いつもそう、ダイキは私に「はい」としか言わせない。この勝手な所は大嫌いだが、はいと言うまでしつこい。何度もせっつかれ根負けし「もう、わかった!」と返してしまった。
ただ、今までの元の木阿弥とは違う。ダイキもはっきり付き合いたくないと言っているし、私も別れた認識がある。ただしつこいから月に一回か二回、体を与えるだけ。元々セックスだけの関係で、そこに勝手にダイキが愛してるだの好きだの言っていただけの事。さして代わり映えは無いが、私は内心ダイキと会うのは距離が多少あるから面倒にもなっていたので、その距離を行く事が続行されるのは少しうんざりしている。
そしてこんなに拗れてまでした話し合いも、無駄になった事には心底疲れを感じる。腐れ縁とはよく言ったものだ。
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