10ヶ月ぶりの…

ゆきえ

公開日｜2024.01.14

更新日｜2024.01.26

昨年、彼と会えたのは、1月〜3月の数回と、11月に食事を1回きり。こんなに会えないのに、気持ちが続いていくことに自分でも驚く。

12月は都合が付けばと日にちを決めていたけれど、彼のお父さんが末期の癌で、病院との話し合いがあるからと結局その日は会えずじまい。今年中に会えないかと聞いても既読スルー。1月中旬の金曜日に、すき焼きのお店を予約しているから大丈夫かどうか教えてと聞いても、やはりスルー。いつものことで慣れてはきたものの、いつ会えるのか見通しがもてないのはさすがに辛い。

1月、出来るだけ重くならないよう、メッセージを送る。

「30年ぶりに再会し、私は本当に良かったと思ってるし貴方には感謝している、他の人ならとっくに離れてる、女は一度気持ちが離れると元には戻らない、こんなに愛してるのは私くらいしかいない、あまり放っておいたら知らないよ」…等々絵文字を入れながら軽く伝える。

とにかくお店を予約している日が大丈夫かどうか教えてと最後に書いて送る。

すると、私が離れると察知したのか「その日はダメだけど、今週金曜なら時間作れるよ」と慌てたように返事がきた。お酒を飲む人なので、前回同様、直接お店に来て、代行で帰るとのこと。

数時間、お店でしか会えないけど、やっぱり嬉しい。地中海料理のレストラン、プールサイドにあるテラス席を予約。個室になっていて、L字型のソファーなので横並びに座れる。

彼は予約の時間より少し遅れて到着。今月は彼の誕生日があったので、プレゼントを準備していた。

マイケルコースのマフラーと、パーカーのボールペン。昨年は仕事用のバッグをプレゼントした。鞄もマフラーも自宅へは持ち帰れないので、会社のロッカーに置いておき、出張の時のみ使ってもらう。

個室は、正面にプールが見える。気候の良いシーズンは開けっぱなしだが、今は冬なので透明のビニールカーテンが取り付けてあり、中にはヒーターが置いてある。隣に座り、料理を食べながらお酒を飲む。この店でまたお別れかと思うと寂しくて、腕を絡ませると、手を握ってくれた。そしておねだりすると、舌を絡ませ熱いキスを何度もしてくれた。ずっと長い間我慢していたから、キスだけで全身がとろけるのが分かる。

彼と30年ぶりに再会してから、1年以上の付き合いになるが、彼の気持ちは一度も聞いたことがない。今日は思い切って尋ねてみようと思っていたので、「私のこと好き？」と聞いてみた。すると「嫌いならそもそもここへは来ない。」「リスクをおかしてまで会わない」など曖昧な答え。ハッキリ伝えてというと「昭和の男だから、恥ずかしくて言わん！」と言っていたけれど、最終的には「好きです」と言ってくれた。そして、頼んでもいないのに自分のスマホを開いて、今後の土日のスケジュールや、LINEのやり取りを誰としているか、家族の名前、Facebookで何を見ているかなど見せてくれた。色んなアプリの通知も放置してあり、私が送ったメールが暫く既読にならない日があるのも納得できる。

これまで長い間会えない、メールの返事も月1回あるかないかの状態で、「もう飽きられたかな」「嫌われているのかも」とずっと不安でたまらなかった。その気持ちが一気に解消され、これから先また暫く会えなくても、返事がなくても、一晩既読にならなくても、彼のことを信頼して待つことができる、という確信に変わった。彼は器用な人ではない。ちゃんと私に向き合ってくれたのが分かる。よかった。私はちゃんと愛されている。

数時間経ったところでお店のスタッフがやって来て、営業時間終了と伝えた。私が代行を呼ぼうとしたら、彼は会社に車を置いて、部下に送ってもらったという。お酒が飲めない私は車で来ていたので、彼を自宅近くまで送ることにして店を出た。

いつも飲んで帰る日は、もっと遅い時間に帰ることもあると彼。もう少し一緒にいられるということなので、私からホテルに誘った。

3月末以来だから、約10ヶ月ぶりに体を重ねた。彼のものが私の中に入ってきた時、「気持ちがいい」「大好き」と言葉に出した。愛する人に抱かれることは、いくつになっても体が震えるほど気持ちがいい。彼はきっと私の運命の人だ。もう離れられない。

午前1時前にホテルを出て、彼の自宅のすぐそばまで送った。とにかく今日は初めて彼の気持ちを聞き、これまでにない幸せな1日を過ごすことが出来たので、暫くの間写真を見ながら余韻に浸ろうと思う。

2月は忙しくて会えなさそうだけど、3月には時間を取ってくれそう。それまで自分自身の生活を楽しみ、充実させながら彼からの連絡を待とうと思う。

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