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まゆ

まゆ

公開日|2024.06.09

更新日|2024.06.09

一度は好きという気持ちを持ったはずなのに、一旦冷めると会いに行く事も顔を見るのも全てが嫌になる。なのにあちらにだけまだ好意があるという状況は、鬱陶しい事この上ない。そして『相手は自分に冷めたのに、自分ばかりがまだ好き』という報われない状況はやがて恨みに変わり、こちらにある日刃物を向けて来る事が一番怖い。だが私は、そうなりかねない相手を最初に選んでしまった。もう会いたくない、と言いこちらから連絡せずにおいたが、ダイキは相変わらず自分が相手をして欲しくなると私にDMを寄越した。『相手してくれよ』という言葉にうんざりしながら『雑談ならね』と返すと『エッチな雑談か会う予定決める話がいい』と返った。キスすらするのが嫌になった男に会う為の予定など、立てるはずがない。『なら断るわ』と打つと『ああそうかよ』と悪態が返り以降は何も来ず。全く連絡をしなくなったのは去年の7月から、この男はのらりくらりと一年もの間、私に執着し続けている。その情熱があるなら他の女に向けてよと心から思うが、そうしない理由は私が好きなのではなく…。

この歳で、またマッチングアプリとかで一から関係を構築するのは疲れる。だったら気心が知れた女を離さずにいる方が楽なんだ。

どこかで読んだこんな言葉が、ダイキに当てはまる。好きだから追うのではなく、一度許した女だから追われているだけ。それもどこまでも勝手な『お前が嫌おうが関係ない、こっちは気軽に呼び出してやれる女をまた一から探すのが面倒なんだ。だから離れるな』と言う理由で。ならば私じゃなく他の元彼女に連絡して欲しい。半端によりを戻しかけた私も悪かったが、やっぱり好きじゃないと気持ちがはっきりしたからにはどうしようもない。

DMの画面を閉じ、時計を見ると午後三時。今日は一ヶ月ぶりに康弘と会う日なので早めにシャワーを浴びた。普段は私も彼も会社帰りに会うのでなかなか時間が無いが、今日は私は休日だったのでやすに普段は持参出来ないお弁当を作ろうと思い立つ。「おにぎりくらいなら作る時間あるから持って行こうか?」とメッセージすると「え、嬉しい!まゆに会うのもおにぎりもめちゃくちゃ楽しみ!ありがとう!」と、思いの外嬉しがってくれた。「やっとまゆに会える、本当に嬉しい。いっぱい舐めたい、まゆの蜜」とも送られてきたので「私の蜜なんか美味しくないでしょ(笑」と返すと「美味しいよ、でも蜂蜜垂らして舐めたらもっと美味しそう。いつかさせて」とも返った。

鮭をグリルで焼きながら和え物とフライを作っておき、焼けた鮭はほぐしておにぎりの具に。玉子焼きも焼いて、可愛いピックを刺したミニトマトにレタス、飾り切りした蒲鉾と花形に切って炒めたウィンナーも。誰でも作れるようななんの変哲も無いものばかりだが、ケースに詰めてお茶や箸と共に保存バッグに入れた。

「車新しくなったね」助手席に乗った直後に私が言うと、やすが嬉しそうに笑い「ずっと買い換えたかったからね、前のは何万キロ乗ったかなぁ。あと安月給だからこれも新車じゃないよ?ワンオーナー」と説明する。福祉の仕事は内容のハードさに給金が見合わない、それでも彼はこの仕事が好きと言い、私もまた給料がさほどじゃない上に女房や義母にまで支出の一切を監視されている彼に無駄な出費は望まない。彼の乗る車なら何でも良いし、どこに行っても何を食べても、贅沢しなくとも楽しい。いつも行くホテルに着き保存バッグを手渡すと、彼が嬉しそうに中身を取り出す。「おにぎりだけじゃなく、こんなに色々作ってくれたの!?」そう言うやすに「色々って程でも無いよ、一つ一つそんなに手間は掛かってないもん」と返したが、実際の所五品の料理に飾り切りなどしたサブのおかずも含めたらそこそこ時間は掛かっている。そしてやすは女房も義母も一切料理せず自分が作る立場なので、料理が手間や時間が掛かると分かってもくれる。「鮭がちゃんと焼いてほぐしてあるおにぎり、凄い美味しい!ご飯も美味しい、どうやって作ってるの?」「玉子焼きも、こんなに美味しいの初めて」食べながら質問するやすに「炊飯する時に、サラダ油と塩、あと微量の酢を入れてあるの」など説明する。彼は「俺、付き合ってきた彼女もみんな料理出来ない人ばかりだったんだ。まして実家から出た今は自分の為に料理作って貰える事なんて全く無いから、本当に幸せだよ」そう言いながらあっという間に平らげた。空腹で仕事を終えて帰っても家に食事は用意されていないので、コンビニで買うか吉野家で済ませるという悲惨な食事情の彼に、たまには手料理を味わって欲しかったので気持ちが伝わって私も嬉しい。

空になった箱を保存バッグに戻しながら、やすが「あれ、これ何?」と声を上げた。バッグの底には二本、スティックタイプの蜂蜜を入れておいた。彼が食べている間ベッドサイドに座りテレビを眺めていた私が少し笑いながら「デザート」と返すと彼がこちらに飛んで来て私を押し倒す。「蜂蜜垂らしたまゆを食べていいなんて、最高のデザート」と耳元で言われキスされた。

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