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crazy for you
まゆ
公開日|2024.06.18
更新日|2024.06.18
些細な気持ちの行き違いがあった直後の月曜、康弘に会うのは彼が仕事を終えてから。いつものように駐車場に向かい自分の車の中で待つ。やすと初めて会ったのはこの車の中で、やはり仕事を終えた夜だった。少しだけでも会いたいという申し出に「私の車で話します?指定した駐車場の右端、白の(車種)の助手席に乗って来て下さい」と言い彼に乗って貰った。乗るなりカーステから流れるユーモアを聞き、彼が「あ、King Gnu好きなの?俺も好きなんだ」と言ったのも覚えている。あれから10ヶ月あっという間だったな…と思いながら運転席に座りぼんやりしていると、程なくして彼の車が駐車場に入ってきた。メッセージではつれない態度をしてみたり謝ったり、だけど会うとそれら全てがまるで無かったかのように『会えて嬉しい』しか感じなくなる。助手席に乗り笑顔で「お疲れ様、会えて嬉しい!」と言うと彼も「まゆもお疲れ、俺も会えて嬉しい」と言い私の手を取り握った。ホテルは平日月曜の夜なのにほぼ満室、残っていた一室のボタンを押し入室すると、肩を軽く押されベッドに座らされた。
ダイキの時も感じたが、私は決して華奢ではなくむしろ肉付きは良い。充分中年太りの体型に属するのに対し、ダイキもやすもウエストは細く肩は逆三角で筋肉がありながらも細い。その細い体でも立った状態の私を軽くトンと肩を押すだけでベッドに倒せるので、改めて男性は力があるのだと思わされる。そしてやすは、自分は立ったままズボンからいきり勃ったものを出すと私の口に咥えさせた。照明も消さない中黙って彼のものに口でしばし奉仕し「脱いで」と言われ服のボタンを外していると照明が落とされた。仰向けに寝た私に彼が圧し掛かり、あちらが飽きるまで長いキスをしたら足を開かされ舌で激しく愛撫される。
濡れたら彼のものが挿入されたが、今日は挿れ方が少し激しくいきなり奥まで貫かれたので、痛みがいつもより強かった。このままピストンされたら更に痛くなるかも…と思ったが、彼は入れただけで一向に動かず、私にただ挿したまま胸を吸い始めた。キスマークが付く程吸われ、噛まれ、握られる。穏やかな普段と違いセックスは時折荒々しい。でもそれはサディスティックな傾向というより、雄の衝動に近い。その間もずっとピストンされずただ入れたままなので、大きさに段々慣れて来ると今度は私の方がピストンの刺激が欲しくなり膣がひくつく。「ヒクヒクしてる」と言われ恥ずかしくなりながら「だって、突いて欲しくなる」と小声で返したが、彼は覆い被さると「だめ、まだ動かさない」と囁きクリトリスを指で擦った。ディープキスで舌を吸われ右手でクリトリスを擦られ挿入はされていても動かして貰えない。初めてされるそれらに私も興奮し泣くような声で「お願い、突いて欲しい」と懇願した。「まだダメ」尚も言われ激しくクリトリスを刺激され、挿入しピストンされないままクリトリスでイク。連動した膣の収縮が彼に伝わり「凄い痙攣してるのが分かるよ」と言われた。そんな風に散々挿入のみされピストンのお預けをされた末、彼に激しく突き上げられ私はいつもより早く絶頂した。
一度射精したペニスを引き抜きまた口に含まされる。すると今出したばかりなのにまた勃起し始め、間髪置かずに二回目が始まった。立て続けに二回出した後はいつものように後ろから抱き締められ、彼は私の髪に顎を付けながらしばし会話する。会わない間に些細な事で嫌気が差し別れようかななどとも過るが、会ってしまうとそんな気持ちは吹き飛ぶ。少なくとも私は彼と全ての相性や波長が合っていると感じるから。互いに悪くは思っていないがLINEの会話がつまらなかったり実際の会話もつまらなかったり、何よりセックスの相性が合わなかったりなどはザラ。特に私はメッセージの会話がつまらない相手は好きになれない。その点やすはメッセージの会話も実際に会ってする会話も楽しいし、すぐに時間が過ぎる。やすも私がつれない態度で返信しないと「まゆとメッセージのやりとりが出来ないのが辛いんだ」といつも言うくらいだから、きっと会話が合うと思ってくれているはず。
気が合う上に彼は見た目の全てが私の好み。体型も髪型も顔も、声も、爪の先まで全てがタイプでその上セックスまで上手いから完璧。こんなに自分に合う人に自分も好かれて双方が思い合えるなんて、もうこの先死ぬまで彼以外に無いと断言出来るくらい。ただ贅沢な悩みかも知れないが、やすのペニスは少し大き過ぎる。口でする時も大変だし挿入時いつも最初は痛く、一気に奥まで挿れられた今日はいつもより痛みが強かったが原因が帰宅してから分かった。やはり少し裂けたらしく気に入りのレースの縁取りのショーツに血が付いていた。染みたり痛みはもう無かったが、高い下着に血を付けるのは嫌なので彼と会う日はもう一段安い下着にするか、帰る前にナプキンを付ける必要がある。
ベッドに寝転びながら会話した後は交互にシャワーを浴び服を着たが、退室時間までまだ少しある。すると彼は自分のバッグからSwitchを取り出すと「一狩り行こうよ」と私を誘った。オンラインで2台のSwitchを繋ぐとゲーム内で協力プレイが可能なので「いいよ」と快諾し、ベッドに並んで座り同じクエストを選択する。けれど開始されるなり「ここ初めて来たエリアだ!ちょっとモンスター倒す前にどんな素材があるか見てきていい?」と彼が言う。「いいけど、私一人じゃ倒せないからなるべく早く戻って戦闘に参加してね」と言うと「わかったー」と言い彼は走り去った。モンスターハンターは一つのクエストに時間制限が設けられており、時間内に討伐出来なかったらクエストは失敗となる。だが一人で悪戦苦闘する私の横で彼は「初めて見る植物あったよ」「鉱石も良いのが採取出来る」「あっちの山まで行きたい」と一向に戻らない。
これがまさに彼のADHD傾向の最たるもの。相手と協力し合わなくてはならないのは分かってはいても、目の前の興味のあるものに意識が行くと衝動が抑えられない。体感で言うとこういう時の彼は8歳程度の男児のようで、私は遊び相手をしている気分。興味があるのは構わないがとりあえずモンスター倒せよ(笑 と苦笑しながらクエスト失敗にならないよう懸命に戦っておいたが、私に対する物言いも協調性の無さも本気で悪気は無いのだ。でも私は愛情があるから許すが、許されない場合もある。以前から私と険悪になると「俺は無神経な事を言ったりやってしまうから、嫌われる事もあるんだよ」と言っていたがまさにこういう部分がある故だろう。ついでに言うと以前聞いたエピソードで「後輩と釣りに行って後輩忘れて帰って、途中で後輩と来てたの思い出して車で引き返した。そしたらサイレントにしてたスマホに後輩からいくつも着信来ていたし『置いてかないで下さいよー』って泣き付かれた」というものもあり度肝を抜かされた(笑 この同行した人間を忘れてしまうというのは長島監督も一茂にやらかしていたが、目の前に興味を引くもの(釣りや野球の試合)があると、周囲が見えなくなってしまうのだろう。いつか私もデート中置いて帰られる覚悟もしておくべきかも。
ただ私は、やっぱり発言は許せない時があるが行動に関しては可愛いなと思ってしまい彼を許してしまうのだ。痘痕もえくぼ、と言うように惚れたら欠点すら逆に愛しく映る。そんな私は彼よりある意味狂っているのかも。そんな事を考えながら別れを惜しむキスをし車に乗り込み駐車場で別れた後は、少し皮肉も込めて「crazy for you」とメッセージを送る。するとすぐ「お前は狂ってる??確かにそうかもだけど😭」と返り思わず笑いながらも慌てて「違う、私はあなたに狂っています、だよ💦」と打ち返した。「やったー!俺もだよ!」という無邪気な返信を見ながら、私は本当に彼に狂っているのだと感じる。こんなに愛した人は居ない、私は彼が居なくなったら本当に狂いそう。そして苛立たされもするけどこんなに一緒に居て楽しい人も居ない、だからどうかずっと私を好きでいて欲しいとやっぱり願ってしまうのだ。
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