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レイカの話
塩すずめちゃん
公開日|2022.06.02
更新日|2022.06.02
小さい頃にジブリ作品よりもディズニー作品を好んで見ていた女の子は、恋愛に関して早熟な 気がする。
ジブリが好きだった女の子は、そこまで急いでない子が多い。
高校の友達、レイカはとにかくディズニーが大好きだった。
ミュージカル女優を目指していて、カラオケではよくホールニューワールドを歌っていた。
レイカのジャスミンパートを聞くために、いつも他のみんなでアラジンパートを歌った。
レイカは高校1年生の6月、学校のふもとにある商店街でナンパされたEXILEのATSUSHIみた いな男にあっさり処女を捧げてしまった。
2個年上で、高校を中退し完全に怪しい仕事をしていたその人を”王子様”と言い、 月1、2回気まぐれに『今から会える?』とメールがくるとすべての予定を放棄して飛んで行 ってしまった。
ただでさえガリガリなのに、一言「顔が丸い」と言われただけでレイカはサラダしか食べなく なった。
一度ATSUSHIがシャコタンのワゴンRで高校の正門まで迎えに来たことがあった。
2人がデートに出かけるついでに駅まで送ってもらった。
ルームミラーにマリファナの形のお香が吊り下げられていて、田舎のボコボコの下り坂のせい でちぎれるんじゃないかと思うぐらいブンブン回っていた。
後部座席で背筋を伸ばしてお香を見つめる私を見て、ATSUSHIとレイカが爆笑していた。
幸せそうな笑顔を久しぶりに見て、私からは何も言えまいと思った。
レイカは高校を卒業してATSUSHIとは別れた。レースクイーンになった。
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