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会おう
まゆ
公開日|2022.11.14
更新日|2022.11.14
「写真交換しない?」
雑談が止まった刹那そう言われ、困った。好印象で話していて楽しかったけど会いたいわけではないし、地味で綺麗でもない自分を見せて幻滅されるのが何より嫌だった。渋ってみたがその流れでLINEIDの交換もしてしまい、写真も交換せざるを得なくなった。仕方なく、連絡が途絶える覚悟で家族旅行で撮ったワンショットを見せる。どうせ今日話すだけの関係だから、別に嫌われても差し支えはない。見せると向こう(ダイキ)から
「綺麗だね!好み!話していて楽しいし会いたい」
と返り驚いた。けれど、お世辞でも嬉しい。ダイキからも写真が送信された。同じ歳らしいが若く見えるし、正直好みだった。素敵な人だな、と思ったら余計に尻込みする気持ちが勝る。実際に会ったらやっぱり幻滅されるだろう。そう思いながらもダイキに押され、結局週明けに会う約束までしてしまった。お互い東京在住で会いやすいというのもあるが、顔を見ても会いたいと言うならお茶くらいなら、という気持ちにも傾いていた。
それから会う日までは毎日LINE電話で話した。声も若くて耳に心地好い。逆に私の声も誉められた。取り柄は無いが、昔から声は歌声も含めて誉められる事が多いから素直に嬉しい。日課になったベランダでの電話を終え部屋に戻ると、旦那がビールを冷蔵庫から出していた。
「あと一缶しか無いじゃん。冷やしておけよ、すぐ飲めるように」
ふてぶてしく言われても、今日は腹が立た無かった。女性扱いもせず命令や皮肉ばかりの旦那は私を誉めないが、ダイキは誉めてくれたから。誉めるどころか、日を追う毎にLINEでも電話でも「可愛い」「好き」「付き合いたい」とも言われるようになった。そこまで言うなら私が多少なりとも本当に好みなのかも知れない。けれどそれでも私は、LINEや電話はしても深い関係になるという発想は無かった。
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