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拒否
まゆ
公開日|2022.12.20
更新日|2022.12.20
しばらく音沙汰が無かった事を、ダイキからの別れのサインと受け取り一ヶ月。何事も無かったかのようにまた彼から連絡が来た。「腹が立ったから連絡しなかっただけで、別れる気なんて毛頭ない」どこまでも勝手な言い分に呆れながら、もう潮時とも感じて改めて私から別れを切り出す。するとダイキはいつものように電話の向こうで怒鳴り散らし始めた。
「絶対に別れないからな!離さない!何勝手な事言ってんだ!ふざけるな!お前は最低だよ!このくそ女が!」
ダイキを子供のようだと感じていたが、ここまで来るともう、狂人にすら思える。いい加減戻る気持ちも失せ、途中で電話を切った。いつもならなし崩しにまた関係を戻させられていたが、もういい。結婚した旦那もモラハラ、付き合った男もモラハラって…私はいつもモラハラ野郎の面倒を見ている幼稚園の先生のよう(笑)もういい、面倒を見る義理も無い。
だが翌日、またメッセージが入る。
『昨日は言い過ぎた、ごめん。好きな気持ちは変わらない、まゆに捨てられたらおかしくなる、戻って欲しい』
『友達でもいいから繋がらせて』
『早くうん、って言えよ』
『逃げられると思うな、お前は俺のものだ』
不倫の代償は必ず受ける、何らかの形で。離婚、慰謝料、社内の噂の的からの転職や失職、友人を失うなど多岐に渡る中…私の場合は男からの執着という形の罰を与えられた。半端に沼に足を入れたせいで、その足を掴まれ身動きを取れなくされた。全身引きずり込まれたら息が出来ずに死ぬ。その前に引きずり込まれないようもがくけど、止める術が無い。ストーカーになりかけているダイキを、私も誰も止められない。返信はせず、ただ黙ってメッセージを読み絶望した。
そうなってまでも、不倫した事自体を後悔もしていなければ罪悪感も未だ持っていない私も、ダイキの事が言えず狂っているのかも。反省が全く無い私は、ダイキでない人も居たのに…とは現在悔やんではいる。ここまで異常だと見抜けなかった私が受ける代償はもしかしたら、最終的に激昂したダイキからもたらされる“死”なのかも知れない。そこまで受け入れてやる気は無いし家など個人情報までは教えていなかったが、罵詈雑言の止まないメッセージが届く中、自分がダイキから首を絞められている様子をぼんやり想像したりした。
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