実物

まゆ

まゆ

公開日|2023.08.26

更新日|2023.08.27

好いていた時は大事にされず、とっくに好きじゃなくなってから執着ばかりされ、ダイキは私の中ですっかり過去の人間となっている。好きな人ではなく、好きだった人。けれど異常なまでの執着に負け、来月会う約束に首を縦に振った。けど、ダイキと付き合うのはいい加減やめたいが一人には戻りたくない。そんな思いがいつも過る。ダイキが冷たくなかったら、もう少しだけ大切にしてくれていたら…完璧なのに、大切にされないのに執着だけはされるから、私は満たされない。私は元から我儘ではない、もう少しだけでいいから優しくしてくれる人なら本当に上手く行くのに。

我儘を言わず従順な私でさえ辟易する程ダイキは酷い人間だから、私は優しくされたくてついアプリの退会が出来ないでいる。でももういい加減止めなきゃ、そう思い退会する為にサイトにアクセスすると、一通またメッセージが来ていた。顔写真は、まあ優しそう。良い男かと言われたら正直言ってそうでもない。ただいつもの癖で「メッセージありがとうございます」と返し結局やりとりを重ねてしまう。

障害者のグループホームの施設長をしているというやすさんは、私より二歳年下。夜勤もあるハードな仕事の上、4歳の双子と小学一年の長男の三人の子の世話のほとんどを請け負った上、掃除洗濯料理までしているそう。「奥さんの義父母と二世帯住宅で住んでるから、俺が家事と子育てほとんどやって、やりきれない分は義父母がやるから、奥さんは毎日9時半まで寝てるよ(笑」という文面を見て、つい良い身分だなと思ったりも。産むだけで育てもせず、空腹になれば義父母か旦那が食事を作ってくれて掃除洗濯も旦那が常にしてくれるなら、一体嫁は何の為にそこにいるのか。そうは思うが他人の家庭の事なので返しようがなく「奥さんは幸せね」とだけ返した。

「夜勤終わった、これから子供達をプールに連れて行くよ」「寝かし付け中」「今日の夕食は中華にしてみた!」などのLINEを見ると、本当にマメだと感じる。障害者グループホームの仕事も大好きで心から利用者に優しく接するそうだが、忙しさと部下によるストレスは相当なもので、一時は仕事を辞めるか迷いもしたらしい。「だから時々、発散したくなる」という言葉に実感が籠っていた。

そんなやりとりをするようになり一週間、「今日夜勤終えたら少しでも会いたい。だめかな、俺の車で話すだけでも」と言われ、あまり気乗りはしなかったが「いいよ」と返した。最後まで行く気は無いけど少し話すくらいなら。結局そうやっていつも最後まで行ってしまうのだが、この日もそう約束して夜家を出た。待ち合わせ場所に停まっている車の中から手を振られ、助手席に乗り込む。私もそうだが、マッチングアプリは写真の方がはるかにマシで、会うと実物はたいした事ないか写真通りか、がほとんど。だがやすさんは稀有な例で、朴訥とした写真の雰囲気より実物の方が何倍も良い男だった。引き締まった筋肉の腕も、髪型も笑顔も声も、ようは全て私の好み。

LINEではやすさんの家庭環境を聞くばかりで私の話はあまりしなかったので、車の中では私の暮らしを聞かれた。モラハラ旦那は家事などした事は一度も無く、二人の息子はほぼ私一人で育てた。そんな話をしていたらやすさんが「偉い!」と言い私の頭を撫でた。好みの男性にされ、胸が高鳴る。その頭を撫でた手が降りてきて私の背に回り、私はそのままやすさんに抱き締められた。何人もの男性に抱かれたが、この日はダイキに初めて会った日と同じくらい緊張していた。彼の唇が首に触れ、耳に移り、唇に。かなり手慣れてる、家庭に尽くすが浮気もしっかりするタイプらしい。見た目は誠実そうだがそもそも私と会っている時点で誠実とは程遠く、それは私も同じ。ただ私は、誰に会う時であれ自分から遊んだ人数は言わないし「俺の他に会った人いる?」と聞かれれば首を黙って横に振る。男は結局、他の男の手垢の付いていない女の方が良いから。

この日は何も聞かれないまま、車内でキスされ髪を撫でられた。唇が離れた後「ホテル行く?」と言ったのは私から。これも初めての事。「うん、行きたい」と頷かれ彼の車でホテルへ。キスから始まり丁寧な愛撫をされたが、多分彼は女性の乳房が特に好みらしい。そこそこ大きい方の私の胸に優しく吸い付き、先端を嬉しそうに舐めた。だけでなく耳から首筋、クリトリス、指の先に至るまで舌と指で優しく愛撫され溶けるような快感を味わった。

前戯だけでも二度程絶頂した後「嫌じゃなかったら、俺のもして欲しい」とベッドに寝転んだ彼の勃起したペニスを見て、思わず息を飲む。私もそこそこの人数経験して来た。その中で最も小さく粗末なのは断トツで旦那、あとはどの男性もそこまで小さい人はおらず一番大きいのはダイキという印象。やすさんのペニスはその今まで経験した誰よりもはるかに大きく、太い。つい「おっきい…今まで見た中で一番」と口に出してしまった程。彼は笑って「そう?それ程でも無いでしょ」と言うが、唇でディープ・スロートしながら口内で先端を舌で刺激する、得意なはずのフェラチオもままならない。まず半分も口に入らないのだ。口内がいっぱいになってしまうので舌を動かすスペースすら無い。含むだけで精一杯だったがそれでも「気持ちいい」と囁いてくれた彼の為愛撫を施すが、唇の端が切れそうになる。しばし息も苦しい程のフェラチオをした後は、優しくベッドに横たわらされた。

いいねした記事は登録後マイページで見れるわ。

コメントを書く

投稿する

体験談一覧へ

まゆ

まゆ

の他の投稿

interruption

不倫

2024.04.28

浮気/不倫 不倫

interruption

ennui

不倫

2024.04.20

浮気/不倫 不倫

ennui

out of doors

不倫

2024.04.13

浮気/不倫 不倫

out of doors

関連する体験談

interruption

不倫

2024.04.28

浮気/不倫 不倫

interruption

真逆の人

不倫

2024.04.25

浮気/不倫 不倫

真逆の人

ennui

不倫

2024.04.20

浮気/不倫 不倫

ennui

関連するコラム

独身女性が既婚男性に冷める時のあるある9選

不倫

2024.01.30

浮気/不倫 不倫

独身女性が既婚男性に冷める時のあるある9選

【渡す?渡さない?】不倫相手にバレンタインを渡すリスクとは

不倫

2023.11.30

浮気/不倫 不倫

【渡す?渡さない?】不倫相手にバレンタインを渡すリスクとは

上司との不倫はなぜありがちなのか?そしてどんな結末になる?

不倫

2023.11.30

浮気/不倫 不倫

上司との不倫はなぜありがちなのか?そしてどんな結末になる?