キーワードで探す
初めての夜
なみ 女性
公開日|2023.11.04
更新日|2023.11.05
シュウとの出会いは酒場だった。
お互いに酔っていて、出会ったその日、沢山話した後、2人っきりになった瞬間からかなりグイグイとアプローチされて。
「一緒にお酒が呑めて、旅行に行ったりできる彼女が欲しいんだよな…なみちゃん、旅行いっしょに行こうよ!お金出すしさ!エッチな事が嫌だったら、指1本触れないし」
「えー?別に嫌じゃないし…旅行かー、私も色々予定あるし、先すぎる予定だと嫌になっちゃうかもだし…シュウくん、エッチしたいの?したいなら、今日しよーよ」
そう答えたら、「え!?今日!?」って素っ頓狂な声をあげたシュウが可笑しくて、ゲラゲラ笑っちゃって。
「据え膳よー?食うかどうかは、任せるけど」
ニヤニヤしながら見てたら、えー、うーん、今日かー、うーん…って相当長いこと唸ってて。
「まぁ、酔っ払ってるしね……無理強いはしませんよ?」
「……えー……」
口説いたつもりが、逆に口説かれる事になったシュウの狼狽えっぷりに、私はケタケタと笑い続けた。
酒場には1人でも行き慣れているけど、明け透けで性的対象に映らないようで、男性に口説かれたりすることも、ほぼない。
あっても「ごめん、興味無いや」と一刀両断できてしまうような方から、ごく稀に…だし。
こちらから口説きにかかるなんて、ほぼした事ないのだ。
そんな私がつい数時間前に出会ったばかりの、既婚で子どもも居るシュウの口説きに対して自分から更に誘うようなことをした理由は、「この男に抱かれてみたい」とシンプルに思ってしまったから。
見た目も悪くない、優しいし、話も合う、お互いにお酒も煙草も好き、変に気を遣う必要もない、一緒に呑んでて凄く自然に心地よくいられたから、もしかしたらセックスも合うのかもしれない…
シュウが浮気を何度もしているのも聞いていたから、「1回増えたからって変わらないじゃん、だったら抱いてみてほしい」なんて…倫理も何もあったもんじゃないけど…そう思ってしまったのだ。
友達になってしまった後だと、私はきっと関係が崩れるのを恐れてセックスできないし…
美人な訳でもない、体型も崩れたおばさんだし、酔っ払った勢いでなきゃ、シュウも私を抱けないかもしれない。
勝負は速攻で決める必要があった。
だからシュウが「なみちゃん、LINE教えて」って仕掛けてきた時には私はもう、その気だった。
それくらい、日々悶々としていたのだ。
「さぁ、どうする?」
「…する」
「おっ、乗ってきたねー。じゃあ、行こ!」
店を出て、歩きながら夜風にあたって少し冷静になったのか「7年ぶり…ちゃんとできるかな」とこっちが誘ったくせに、一抹の不安がよぎる。
隣を歩くシュウを見ると、少し緊張したような面持ちで「あらら?浮気者のくせに…意外と可愛いのね」とクスッとなって…
「すっごい久しぶりにするからドキドキしてきたー、上手くできるかなぁー?」と声に出して言ってみたら、ちょっと気持ちが解れたのかシュウも笑って、お尻を触ってきたから「ちょっとー、まーだ!」ってじゃれながら、密室になだれ込んだ。
どちらからともなく唇に吸い付いて、夢中で何度もキスして、触れ合って…
驚くほどスルッと下全部脱がされて、シャワーも浴びてないのに股に顔を埋めようとするから、流石に焦って「やっ、ダメ、汚いよォ!」って頭を押し返すけど、お構い無しでベショベショに舐められて…
自慰では得られない快感に、声が抑えられない…
アソコを指で広げて、じーっと見つめているシュウ。
呑んでる時に「俺、変態だからね。すっげー見るよ」って覗き込む仕草するから、「見るって何をだよ、バカ」って笑ってたのを思い出して、「さっき言ってたの…これか…」って赤面する。
「ヒクヒクしてる…びしょびしょ。やーらし…」
指でグチョグチョにかき混ぜられて、着ているシャツやブラを捲りあげて顕にされた乳首にしゃぶりつかれると、気持ちよすぎて瞼の裏がチカチカして「やぁあんっ」て高い声が溢れ出る…
はやく、シュウの、挿れてほしい…
股間に優しく触れてみたら、こんなに熱く愛撫してくれてるのに、ふわふわのまんまで。
あれ…?
脱がせて、フェラしたけど…
とうとう最後まで変わらずだった。
シュウの前戯は凄く気持ちよかったから、勃たなかったのは私のせいだな…私じゃダメかー…とちょっと軽く落ち込んだけど、セックスはしてみなきゃわからないものだし仕方ないなー…と思ってたら、シュウが「なみ、俺もすっごいしたいんだよ、なのに、ごめんな」って抱きついてきた。
誘ってくれたの嬉しかったのに悩んでたのは、酔いがかなり回っていたし、急に降って湧いた機会に対しての緊張で、勃たない予感がしてたからなんだ…と。
「ごめん…ダメだな、俺は」と謝るシュウに「謝んないで。迷ってるのに意地悪して今日がいいなんて言って、こっちこそごめんね。次会えたら、その時は一緒にイこ?」って伝えたら、ギューッと抱きしめられて。
知らない香りがフッと香って、ドキッとして…
やばい、好きになる…って焦った、次の瞬間
「好き」って言われて、ギクッとして。
「あんま、好きって言うなよー」って笑って誤魔化しながら、キスした。
帰り支度しながら「バイバイしたくないなー」って本音が口をついて出てきて、慌てて「なんちゃって!」て笑ったら、シュウは困ったような顔で笑ってて。
「あ…もう会えないかもな」と、ちょっと寂しくなって。
「すごく楽しかったから、バイバイしたくないのは…本音だよ」って呟いたら、黙ったまんま、頭撫でてくれた。
外出て歩いて、いよいよここでお別れ、ってなって
「ありがとう、楽しかった。気をつけて帰ってな」
「うん、ありがとね。おやすみ」
そう答えた瞬間、チラッと周りを気にしながらキスしてくれて。
手を振って別れたあとも「また会えるかも」って気持ちが弾んだ。
この時はまだ全然「たまたま出会って気に入ったシュウくんに抱かれるゲーム」のつもりだったけど…
今思い返すと、もう結構、好きになっちゃってたんだな…と思う。
本気にならない、遊びだよ、って自分に言い聞かせてただけで。
ログインをすると利用出来ます
コメントを書く