煌々

まゆ

まゆ

公開日|2023.12.14

更新日|2023.12.14

12月は、私は毎年実家に帰省する。年末年始は行きたくもない旦那の実家に顔を出す必要があるので、その前に自分が姉一家や両親、親戚と過ごす為に。やすはやすで1月に異動になる前の引き継ぎや子供とクリスマスを過ごすので、12月は6日に会ったが以降は互いに忙しく時間が合わなそうなので、予定は決めていなかった。本当はやすから「イルミネーション見よう」とも言われており私も一緒に見たかったが、なかなか叶わずにいる。

今月はもう会う時間無いかな、と思っていたがLINEに「13日、夜6時くらいから行けそう。まゆが予定大丈夫ならイルミネーション見に行かない?」と入った。私もその日は定時で帰れる、喜び勇んで「空いてる、嬉しい!」と返した。文字打ちしながら視線が自然と、先日買って貰った指輪に行く。シンプルだけど表面に加工があり、光の反射でよく輝く。仕事場の同僚は付けて出社したその日に目敏く指輪を指摘した。「お、可愛い指輪してる」その指摘に私は「ちょっと早い自分へのボーナス、気に入ったから買っちゃった」と嘘を述べた。女同士である同僚は私の変化によく気付くが、私を家政婦としか思っていない息子らも旦那も、私が何を身に付けようがどこに行こうがお構い無し。それは逆に私にとっては有難い部分もあるが…

家政婦扱いの最たるものの、旦那にはいよいよ辟易する。帰宅時間が早いというので夕食を用意しておけば、パチンコでいつまでも帰らない。帰宅後「せめて夕食要らなくなったなら、LINEなりして。私も仕事して帰ってから作っているの」と頼むと、途端に激昂し「いちいちうるせえんだよ!!」と怒鳴り付けた。私も気が弱くはないので「私の助けが無かったらシャツ一枚アイロンがけ出来ない幼児のくせに」と返す。その返答は無い代わりに、旦那からは車の鍵が投げ付けられ壁に当たった。

うんざりする、早く死んで欲しい。だがしばらくは死なない、旦那も40代前半とまだ若いから。ならば息子二人の大学進学の資金を払い終えたら、彼どうこうではなく一人になりたいから離婚しよう。この決意とやすの優しさが、今の私の支えになっている。

お互い仕事を終え今日は私の職場の近くに迎えに来て貰い、イルミネーションが開催されている公園へ。クリスマスが近い事もあって小さい子を連れた夫婦やカップルが多い、その中をやすから手を繋いで来て二人で歩く。指輪を貰った時も自分を世界で一番幸せだと感じた、でも今日も自分を世界で一番幸せだと感じる。この人と知り合えて本当に良かった。煌々と夜に輝くイルミネーションの中、彼の手から伝わる体温を感じながら本気でそう思った。これだけ喧嘩も無く互いの嫌いな部分が全く無いなら、私達はきっと結婚しても上手くいくのかも。だけどあえて私は、こんなに愛していても略奪は望まない。互いに不満だらけの日常を過ごしながら会いたい気持ちが高まった時、会って幸せを感じる今の付き合いが良い。前にも述べたが、その方が互いに綺麗な部分や良い面だけ見せられるから。それから、長く新鮮な気持ちでいられるから。

「今流れてるこの曲って鬼滅だっけ」「そう、劇場版で流れてた」「俺アニメ途中から見始めたから、二期より前の話知らないんだ」「私、単行本持ってるから貸すよ」

そんな他愛ない会話が、私達はいつも途切れる事がない。スマホで交わすメッセージも同様に、どんなに長時間話していても疲れずに楽しい。だから気が合うのだと思う。そして互いの見た目も好き。自分が好いた相手が自分を好いてくれる、相思相愛というのは簡単なようで簡単じゃない、奇跡に近いといつも感じる。ただどんな事象も奇跡も、必ず始まりがある以上終わりもある。ならば…願わくば終る原因は、どちらかの心変わりでも伴侶にバレる事態でもなく、老齢になった後の死であって欲しいとさえ思う。いつか別れる事を避けようがないのなら、別れる原因も避けようがないものであれ。それしか受け入れたくない。数千の光の中を歩いて自分を世界一幸せと感じた後は、空腹を訴えたやすの希望で夕食にパスタを食べた。ただどんなに楽しくとも、もうタイムリミット。今日は会社帰りの夜に会っており、互いに明日も仕事なので遅くなれない。

私はホテルには寄らずに帰るつもりでいたしあちらもそのつもりなようだが、彼は真っ直ぐ私の家付近には行かず途中の人気の無い別の駐車場に車を停めた。エンジンを切ると彼の手が私…を通り越しリクライニングレバーへ伸びた。座席を倒されのし掛かられた彼に、舌を吸われる激しいキスをされる。高揚した私が彼の勃起した下半身に手を伸ばすと、彼が唇を離して小さく笑った。「触られたらしたくなっちゃうから、だめだよ」それに私は「車内じゃ最後までは難しいから、口でしてあげる」と答え彼のズボンのジッパーを下ろした。

すでに天井を向いて硬くなっている彼のものを口に含み奉仕すると、彼が「やばい、気持ちいい」と呟く。しばし手と口を使い刺激していると、やがて彼は私の口に射精した。ダイキは精液にほとんど味が無かったが、やすはある。あの特有の何とも形容し難い味がかなり濃い。でもその味すらも愛しく感じ、自分のものにしたくて「吐き出して」とティッシュを口に宛がわれたが飲み込んだ。服を整えた後は私の服を前だけはだけてブラジャーをずらし乳房を彼が愛撫し、指を挿入された。快感に思わず彼にしがみつく。互いが絶頂した後も、私達はしばらく車内で抱き合った。彼の唇が私の耳にキスしたり、耳たぶに舌を這わせる。激務をこなして少し伸びた髭が顔に当たるのも、いつも以上に心地好い。

大概の女がそうだと思うが、私は付き合う男がどんな人間かをよく分析し、男が望むものを与える。やすはとにかく気性が穏やかで優しい、そして責任感があり仕事も家庭も全て一人で抱えようとする人間。私は彼のその抱えようとする性質は正さない。彼が最も求めるのは、その線引き出来ずに何もかも抱え込む事をひたすらに認め称賛する事。だから私は、彼を絶対に否定せず全てを肯定し尊敬の念を伝えるしかしない。わざわざリスクを冒してまで、女房以外の女に会う理由は性欲ばかりではない。やってもやっても労い一つ無い女房以外の誰かに、自分を認めて貰いたいからだ。男の不倫は性欲の解消が目的なら、ダイキのようにホテル以外には行かない。やすは性欲を上回り承認要求から恋愛を求めるので、ホテルに行く以外の交際を提案する。なので私は彼の全てを受け入れ、称え、認め、誉める為に側に居る。

もう一つ、彼はあまりうるさく「今日は何をしていたの?」と報告を求めたり無理に会いたいとワガママを言う女が嫌いなタイプでもある。過去にそれが原因で別れを告げたと聞いていたし、元々私が男にしつこく詮索はせずある程度放っておくタイプなので、それも合っている為彼は居心地良く付き合えているはず。私から会いたいと言わず、LINEは相手が未読なら用事が無い限り次のメッセージは送らない。メッセージを送らない事も気遣いのうちで、彼の望むペースで付き合い私もそれが苦ではない。それで自然と上手くいっているのでこれが正解なのだと思う。

家の近くに車を停め、キスをしたが彼はまだ私を抱き締め離さない。「次会えるの、多分年明けだよな」彼の問いに私が小さく頷いた。私は帰省があり、彼は不規則な仕事の為仕事納めは30日。しばらく会えない。別れを惜しむキスをもう一度して「今日もありがとう」とお礼を言い車を降りた。寂しい気持ちを引きずりながら自宅へ歩いていると、スマホの通知音が鳴る。

「離れるのが寂しい」

普段、好きとは滅多に言わない。言わなくても充分好意が伝わる短い一文を読み、嬉しくなり「私も😭次会える時まで我慢する」と歩きながら返信した。

寂しいと幸せが織り混ざった気分で帰り着くと、一気に私を幸せから地獄に落とす存在…旦那が出っ張った腹をさすりながら冷蔵庫を開けていた。「なんか食うもんないか」と聞く旦那の風体は、やすとは全く違う。引き締まった何を着ても似合う体型、髪もいつも清潔感がある彼と、目の前で何一つ自分でやろうとせず私にさせようとする汚いトドとは、年齢はそう離れていないのに全てが雲泥の差だ。呆れながら「今日は帰りが遅くなるって言っておいたはず。疲れて帰ったところだから、自分で冷凍食品温めたりカップ麺にお湯注いだり、買いに行ったりしてくれる?」と言うと舌打ちが返った。ただ、今日はその舌打ちもそこまで苛立ちはしない。彼とイルミネーションを見られて幸せだったし、舌打ちしながら冷蔵庫にあったミネラルウォーターのペットボトルを取り出し旦那が飲み始めたが、そのミネラルウォーターは先日私がやすとホテルに行った際、飲まずに持ち帰ったホテルのサービス品。

「女房が他の男と散々セックスして来たホテルから持ち帰ったサービス品は、どんな味?」

そう聞いてやりたい気持ちをほくそ笑みながら堪え「じゃあ、今から簡単なもの作るから」と微笑んで答えた。

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