out of doors

花見に出掛けた日、本当は夜まで一緒に居て夜桜も見ようと言い合っていた。が、生憎その日は午後から雨だった事もあり雨脚が強くなってきたので帰る事にした。その日帰宅し楽しかった旨を告げると康弘からは「またすぐ夜桜見に行こうよ」とメッセージが来ていたが、本気にはして居なかった。やすとは会えないと1ヶ月半くらい空くのもザラ、先日会ったからまた1ヶ月くらいは待てるしいいや。と、私は本気にしていなかったが翌週すぐに「明日の夜空いてる？夜桜見に行こう！」とメッセージが来た。意外だったが反面約束をちゃんと覚えていて実行してくれるつもりなのが嬉しい。ただ数日前にかなり強い雨と風が吹いたので、ただでさえ短い期間しか咲かない桜は散っていないだろうか。そう思い「でももう咲いてないんじゃない？」と返す。すると「桜が咲いてなくても、会いに行きたい」と返った。私も「嬉しい、私も」と返信し待ち合わせの時間を話し合った。

一旦仕事から帰り軽くシャワーを浴び化粧を直し家族の夕食を作り置きして、いつも待ち合わせに使う場所に向かう。と、すぐに見慣れた車が入ってきた。あちらは仕事帰り真っ直ぐに来ておりスーツ姿、私服もセンスが良いがスーツもよく似合う。他愛ない話をしながらシダレザクラが有名なお寺まで車を走らせ、車を停め手を繋ぎ境内を歩く。本当は車内で検索した時点でライトアップの時間が終了してしまっているのは分かっていた。それでも彼は「ちょっと歩こうよ」と言う。そしてライトアップはされていないが、月明かりの中で葉桜に近くなった桜の老木を一緒に見上げた。私は桜が見えようが見えまいが半ば関係ない。彼と夜に散歩がてら歩き、隣り合って同じ景色を見られただけで嬉しいし幸せだと感じる。私より積極的に、ライトアップは終わっていると分かっていながらも誘った彼も同じ気持ちであって欲しい、きっとそう。

ただまだ宵の口だが、仕事帰りに車を飛ばして来てくれている彼をあまり長く連れ回すのも悪い。そう思い今日はこれで帰ろうと思っていると、あちらから「さっきゲームセンターあったよね、寄って行かない？」と誘ってきた。「疲れてるんじゃない？」と聞き返すと「まゆと居ると疲れが逆に取れる」と返った。その施設には漫画喫茶も併設しており、クレーンゲームで遊んだ後には彼の提案で漫画喫茶にも寄り、ダーツやビリヤードでも遊ぶ。セックスでの繋がりしか欲さないダイキと真逆で、やすはセックス以外の友達同士のような遊びも私としたがり、私はそれが嬉しい。私もやすとなら、セックスはもちろんどこに行っても何をしても楽しい。学生時代のような遊びに興じ、さすがに12時近くになってしまったので帰る事に。

やすと一緒に居ると時間があっという間に過ぎる。家が近くなり少し寂しい気持ちになっていると、車がいつも停まる場所を通り過ぎた。不思議に思っていると「あともう少しだけ一緒に居たい、どっかに停めてハグだけさせて」と言われる。車を停めた瞬間、まだシートベルトも外していない私にやすが覆い被さりキスして来た。首筋にキスしながら私のシートベルトを片手で外し、着ていたパーカーのジッパーを下ろすとブラをずらし乳首に吸い付く。思わず小さく「あ…」と声が漏れた。するとやすが「ごめん、ハグだけのつもりだったんだけど止まらない、外に出ない？」と言い出した。車を停めているのは以前郵便局があった敷地。街灯が無い場所ではあるが奥には民家もある、いつ誰に見られるか分からない。自分の欲求を満たす為ならこちらの意思など関係ないダイキと違い、やすは「嫌なら言って、無理はさせないよ」とも言ってくれる。それには「いいよ、外行こ」と答えた。

車の窓に手を付く私のスカートをたくし上げ、固くなったやすのペニスが挿入された。ホテルなら声を上げているところだが今日は片手を窓ガラスにつきもう片方の手で必死に口を押さえ、声を殺す。若い頃なら1、2度あったし車内での行為なら最近だってある。が、完全な野外でのセックスなど本当に久しぶりでやすとは初めて。スリルもあるし余計に興奮した。やすもそれは同じらしく「やばい凄く興奮する、すぐイキそう…」と囁くといつもより少し早く私の中に射精した。射精後も繋がったまま、窓ガラスに体を押し当てられるように抱き締められ首筋を舐められる。ペニスを抜いてすぐに下着を上げると、温かい液体が子宮から伝いショーツに落ちてきた。「汚してごめん、すぐお風呂入りなね」「わざと入らないで寝ちゃおうかな」「だめだよ(笑」そんな会話をしながら車が駐車場に着くと、もう一度キスされ抱き締められる。

彼は好き、とは言わない。

言わないが伝わりはする。好いてくれていなかったら遠いのに来ないし遊ばないし指輪もくれないし私に興奮もしないはずだから。本当はちゃんと言葉にして欲しいが、そこまでは贅沢というものだろう。だから充分幸せ。

帰宅しシャワーに行こうとすると、リビングには好きにパチンコをして帰り好きに缶ビールを飲みテーブルを汚し居眠りする、トドのような旦那が転がっていた。この男は何回言おうが自分が飲んだ後を片付けない、私の方が仕事の帰りが遅い日すら。若い頃は「ごめん洗濯機の音で聞き取れなかった、もう一回言って？」と私が言ったくらいの些細な事で髪を掴まれたり、今も物を投げられる事は日常茶飯事。思い出し蹴り飛ばしてやりたい気持ちを抑えながらも、やすの精液が大量に染みた下着のまま床に転がる旦那を跨ぐ事で気持ちが少し晴れた。