再会

付き合っていた時は、こちらから頼んだわけではないが毎日シュウから少なくとも2回は定期連絡のLINEが届いた。
別れてやりとりが途絶えたことで、あのやりとりが会えない日々の私をどれほどに支えていたのかを思い知らされる。
こんなに大好きになってしまったけど、私達は不倫で、一緒に暮らしたり結婚したりというビジョンはない関係。
転勤が決まったシュウは私に「待ってて」とは言わなかったし、私もシュウを「待ってる」と言えなかった。
簡単に会える距離ではなくなって今まで以上に会うハードルは上がってしまったし、このまま続けても会えないことに不満を募らせた私がシュウを困らせてしまう気がして……
転勤で新しい生活を強いられているシュウを私の事で煩わせたくないし、だからといってただただ我慢強く寂しさに耐えて彼を待ち続ける自信もなかった。
だから、好きなまま終わらせた。
でも、終わらせてみてわかったことがある。
私はやっぱりシュウを忘れられないし、頑張れるか自信がないなりにシュウが私の所に帰ってくるのを待ちたいんだ、という事。

「帰ったら時間作るから会おうな」というLINEの言葉に淡く期待していたけど、GWが近づいてもシュウからは音沙汰がなくて。
私から連絡くるの迷惑に思うかなぁ……って悩んだけど、GW直前の金曜日の夜に「GWは帰ってくるの？」とLINEしてみた。
その日は既読もつかないままで、翌朝も未読のままだったから「もしかしてブロックされてるのかな……」と考えていたら、既読がついて、返事が来た。
「帰るけど、後半は仕事になったから今日から4日間だけだよ」
それが本当なのか、私の誘いを断るための嘘なのかはわからない。
「忙しいんだね、タイミング合いそうならちょっとだけ顔見たかったけど色々忙しいかな…
今日か月曜日に都合つきそうなら、ちょっと呑もうよ」
そう送ったけど、その日の夜遅くに既読だけついて、翌朝
「おはよう～
月曜は予定が入ってる」
と断りの返事が来た。
「おはよ
そっかー残念
またタイミング合ったらね！」
そう返したら、既読だけついた。
もう私のことが嫌なら返事はしないだろうけど、聞いた事への返事はくれる。
今会うつもりはないけど、ゆくゆく転勤を終えて帰ってきたら復活したい……という事なのかな。

GWは趣味の予定なども入れながら終わって、日常が始まったけど、相変わらず私はシュウに会いたい気持ちを募らせながら、毎晩のように1人になると泣いていた。
泣いたって何も変わらないとわかっていても、ふとシュウを思い出すと「もうこのまま会えないかもしれない」と悲しくてたまらなくなって……不毛なことを繰り返していた。
でも、いいかげん、こんな自分に嫌気がさした。
好きで諦められないことも、会えないことも、今はどうしようもない事だと受け入れよう。
シュウが前に送ってくれた「帰ったら、時間作るから会おうな」って言葉を信じて、自分磨きしつつ待とう。
シュウが居なくても、笑顔で楽しく過ごそう。
そしたらきっと、ずーっと先かもしれないけどシュウはまた連絡くれるし、また時々会えるようになるはずだから、それまで待とう。
待てなくなったなら、それまでだ。
そう決めた夜、シュウが夢に出てきた。
並んで歩いていて、手を繋いでくれる。
嬉しくて、繋いだ手をギュッと握ったら、握り返してニコッと微笑んだ。
そこで目が覚めた。
夢かぁ……と少し落胆したものの、まるで本当に会えたみたいな感覚で嬉しくて……
シュウはウザイかもしれないけど、返事なんかいいから、ただ嬉しかったこと伝えたくなってLINEしてみた。

「おはよ
夢にシュウが出てきたから
嬉しくてLINEしてみた♡
返事は大丈夫だよー
今日もがんばろーね！」

そう送った。
きっと既読がつくのも夜遅くとかだろうな…と
思っていたけど、お昼休みにスマホを触っていたらシュウからの受信通知が画面の上に現れて、ビックリした。
えっ、何？どうしたの？
慌ててLINEを開くと

「あらら🤭
今日と明日は出張だー
北陸行って長野、遠すぎ😮‍💨 」

偶然、出張のタイミングだったらしい。
移動距離が長くて、時間を持て余していたのかもしれない。
それでも返事が嬉しくて

「ええっ、やば、遠いねー💦
忙しいね、気をつけて行ってきて！」

と送ったら既読だけついた。
転勤後もバタバタ慌ただしく出張も入ったりしているんだな……頑張ってるなぁ……と思ったら、シュウに「お疲れ様」って伝えたくて…
夜になってから

「出張、お疲れさまぁ
明日も頑張ってね」

と送ったら、数時間後に既読だけついた。
返事がほしい、やりとりがしたい、その気持ちが全くないと言えば嘘になるけど……
この日送ったLINEは本当にただ気持ちを伝えたかっただけだったから、既読がついただけで嬉しい気持ちで眠った。

翌朝、目が覚めてスマホを開くと、シュウからLINEがきていた。
ビックリして開くと「おはよう」の4文字の横に笑顔の顔文字。
毎日くれていた朝のLINEを思い出して、泣きそうなくらい嬉しいけど、それを伝えたら重いかな……と、毎日返していたLINEと同じように返す。
「おはよ
今日もがんばろーねっ」

嬉しい気持ちで1日働いて、帰り支度をしてスマホを確認していたら、シュウからまたLINEが入ってきた。

「終わって帰るとこだよー
疲れたな😓」

どうしたんだろう、今日は頻繁にLINEくれる…

「お疲れさまぁ
凄い移動距離だもん、
余計に疲れるよね💦
土日はゆっくりしてねー」

そう返した後、帰宅して簡単なおつまみを用意して晩酌する時に写真を撮って、それもシュウに送った。
すぐに「いいな、家飲み？」と返事が入る。
「うん、家で1人呑み」
「飲みたいーーー
出張で出費あったけど😭
でも飲みたいーーー」

これは金欠だけど私に甘えたら一緒に呑んで奢ってくれるかも、という時のシュウだ。
出張帰りにこっちまで遠回りして立ち寄るつもりなんだろうか。

「呑みたいよね、呑んじゃえ！笑
たまにはご褒美、いいでしょ？
呑んじゃえ、呑んじゃえ～」

そう送ったら

「結構飲んだ？
1人寂しいし笑
そっちで飲めるなら笑」

やっぱり、そのつもりなんだ。

「いや、まだ始めたばっかり
え、マジ？じゃあ呑もっか」

そこから慌てて支度して、アクセスの都合で2人でよく呑んだ駅の隣駅で待ち合わせした。

大きな荷物を持って立っているシュウに近づきながら手を振る。
「久しぶりだな」
「元気そうで良かった」
4ヶ月ぶりに会ったシュウは顔色もよくて、安心した。
近くの焼き鳥屋に入る。
カウンターに並んで瓶ビールを頼んで、お互いのグラスに注ぎあって「お疲れ様です」と乾杯した。
「あっちの暮らし、ちょっとは慣れた？」
「そうだなぁ、通勤が前より1時間以上かかるから、朝が早くなってキツイけど」
「それはつらいねー、向こうの会社の人とはうまくやれてる？」
「うん、みんな良くしてくれるよ」
「じゃあ良かった、人間関係キツイのが1番しんどいもんね」
「洗濯とか自分でしなきゃいけなくなったからな、めんどくさいよな」
シュウは持ち家だし、奥さんにも仕事があるし、子どもさんも大学生と高校生。
当然、単身赴任だ。
「奥さんの有難みを噛み締めるだろ〜笑
帰ったら、ちゃんと奥さん孝行しろよー！」
そう言ったら、苦笑いするシュウ。
出張手当が出るものの全然足りないらしく、節約しながら頑張っているらしい。
「すぐ近くにスナックとかあるんだけどさ、高いし、楽しそうな声聞こえるけど行けなくって」
「我慢してんだね、偉い偉い」
「会社の人が呑みに誘ってくれるけど、俺より若い子が大半だから俺が沢山出さなくちゃだし……気が気じゃなくて、あんまり楽しめない」
「お小遣い制だもんね、シュウ」
「お金の心配いらない呑み、久しぶりだー」
嬉しそうに伸びをしたシュウに
「良かったねー、出してくれる女が居て」
とシュウの座ってる椅子を軽く蹴ると
「助かりまぁす」と笑った。
シュウの転勤先での様子を聞いたり、お互いのGWがどうだったかを話したりしながら呑んで、お腹も満たされてきた。
会計を済ませて、外に出る。
「今日はこっち来たし、家に帰るの？」
「ううん、家には帰らない」
時間ももう遅いし、今から新幹線に乗り継いで転勤先まで帰るのは厳しい。
お金ないけど……と前置きして会いにこれば呑み代もホテル代も私が出してくれるってわかってて、こっちに来てるんだろう。
文字通り、都合のいい女、ってことだ。
ナメられてるなぁ……と思う反面、好きで好きで堪らない割には、お互いに都合のいい関係でいたい私。
そこで傷ついたりするわけもないし、会える機会自体が貴重なんだから、みすみす逃すつもりもない。
「私、生理終わってないけど平気？」
「平気」
即答したシュウにキスして、コンビニでお酒を買い込んだ後、ホテルに入った。

部屋に入って、買い込んだお酒で乾杯して、テレビを眺めながら喋って。
久しぶりだけど、変わらない時間。
違うのは、私達はもう付き合っていない、という一点だけ。
「お風呂入れよっか」
いつも通り、用意してくれる。
ソファーに戻ってきたシュウに「抱っこ♡」と甘えて手を広げたら、笑って抱きしめてくれる。
「会いたかった」
「俺も会いたかった」
「ほんと？」
「うん」
ソファーで触りあって、たっぷりフェラして、対面座位で繋がって私がイッた後、一緒にお風呂に入って洗いっこして、湯船で触りっこして、フェラして、立ちバックで激しく突かれてまた私がイッて……
ベッドでまたたっぷりフェラして、騎乗位で繋がって、正常位でキツく抱きしめ合ってイッて……
夜中にまた目が覚めて、勃起しているペニスにしゃぶりついて口に出された精液を全部飲み込んで……
朝目が覚めたら「次会うのいつになるかわかんないから、もう1回おちんちん舐めさせて」ってフェラして、騎乗位で繋がって、シュウの精液を全部搾りとった。

たっぷり抱き合って、シュウの腕の中で眠って……思わぬタイミングで訪れた幸せを噛みしめる。
次はいつになるかもわからないし、もうないかもしれない。
最後のセックスの後、シュウは帰りの時間が気になるようですぐにスマホで電車の時間を調べ始めた。
以前の私なら寂しくて気持ちが沈んだだろうけど、出張の後、疲れてるところを会いに来てくれたシュウを早く帰らせてあげたくて、「そろそろ出よっか」と声をかけた。
慌ただしく身支度をして、ホテルを出て駅まで見送る。
休日の朝で人通りは殆どなくて、シュウから軽く触れるだけのお別れのキスをしてくれる。
「気をつけてね」
「うん、ありがとう」
手を振って別れて、私もそのまま帰路についた。
家に着いて、
「おうち着いたよー
会えて嬉しかった！
ありがとう♡
気をつけて帰ってね」
とLINEをしたら、4時間後に
「ありがとう😊
楽しかったなー
出してもらってごめん🙇‍♂️
ようやく着くよ😮‍💨」
と返事がきた。
「お疲れ様、やっぱ遠いねぇ💦
楽しかったね！
2月に誕生日のお祝いも
できないままだったし
今度会えたら出すって決めてたから
気にしないで～
土曜日半分潰れちゃったけど
ゆっくりしてね」
そう返すと
「うん♡ありがと！
ゆっくりするよ～」
と返ってきた。
幸せで堪らなかった時間が終わる。
今回はたまたま会えるチャンスだったから、連絡を返してくれてたんだろう。
きっと、もう明日からはシュウからの連絡はなくなる。
そりゃ勿論寂しいけど、貴重な時間を割いて会いに来てくれた、それだけでもう十分。
また当分連絡はないだろうから、最後のつもりで夜にLINEした。

「出張帰りで疲れてるのに
ほんとにありがとう
幸せだった♡
今日はゆっくり寝てね♡
おやすみ🌙.°」

夜遅くに既読だけついた。
おやすみ、シュウ。
元気でがんばってね。
また会えたらいいな。