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Characteristic
まゆ
公開日|2024.06.18
更新日|2024.06.18
出会って10ヶ月、その間LINEで話さない日は一日も無いけれど会えるのは月にせいぜい2回。会えない日々が募ると些細な言葉やニュアンスの取り違いなどもたまに出て来る。土日は基本互いが家族が居るのでLINEのやりとりも少なめに、会う事はほぼ無い。けれど先週土曜は急に「今日の夜、会えたら嬉しい」と来た。私だって嬉しいがさすがにいきなり今日会いたい、と言われると気が急く。それに土日の外出は疑われやすいのではと思い「私は大丈夫だけど、家出られるの?」と打つと、しばらくして「ごめんね、まゆだって土日は出にくいよな、友達から誘われたから夜釣り行ってくる!」と来た。この衝動性が強く思い立ったら後先考えずに言うのもADHDの特性なのだろう。だがつい、最初からたいして会う気が無いなら誘うなよと少し苛立ってしまい以降は返信しなかった。すると「いきなり誘ってごめんね」「一匹しか釣れないや、やっぱりまゆと会えば良かった」など来るので「釣りに集中していいよ、LINEしてたら落ち着かないでしょ」と返したあとは放置しておいた。その後は小さい魚二匹を写した画像が来たり「そろそろ帰るね」「明日は子供の学校行事に一人で行くんだ、なのに帰りこんなに遅くなっちゃった」とも来た。
康弘の女房は子供の学校行事に一度も出た事が無く彼に丸投げしており、子供の学校の保護者達はやすの女房の顔を誰も知らないそう。料理も掃除も洗濯も子供の世話も一切せず母と旦那に投げ、ただ仕事をするだけ。フルタイムで働きながらワンオペで二人育てた私からしたら夢のような生き方だ。その自由をやすから許され甘やかされている女房が素直に羨ましい。そんな事を思いながら「偉いわ本当。旦那は逆に行事に出てくれた事なんか一度も無かったよ」と打つと「嫁も仕事してるからね」と返った。
女房に労いもあって、最初から負担などたいして無い彼女を更に助けようと自分が休日を潰し子供の世話をする。実際は女房が頑としてやらないから彼がやるしかないだけかも知れないが、労るような言い種が気に入らない。そう感じると段々と(夫婦仲が良いのなら女房とだけよろしくやっていればいいのに。私が要る必要は無い)と感じて来る。私はこんな時「奥さんが大事なんじゃない!」などと怒ったり膨れたりは一切しない。ただ相手を嫌いになる。嫌いになると別れが過る。さすがにまだ幻滅しきってはおらず情があるのできっぱり切りきる事は出来ないが、自然消滅のように段々と疎遠になってもいいかもとは思う。ただもうこの歳から新たな出会いは求めない。誰かを好きになる事も、その相手を探す事も疲れてもう出来ない。男性は性欲処理の相手が必要なのでそこが『探すのが面倒だから今居る女に執着する』となるが私は誰かを欲するのは寂しさから。なので面倒さが上回り『探すのが面倒だからもう要らない』になる。本音は好きな人は欲しい、でも発覚しやすい普段の人間関係の中からではなくマッチングアプリを使い、その中で来てくれる人を待ち、来たら話し、会い、自分も相手も双方好きになるか探る作業はよほどやる気が無い限りもうやれない。
それきり一切何も送らず、翌日は朝から「おはよう、まゆは今日は出掛けるの?」というLINEに「出掛けない」と返したきり何も返さなかった。この日は父の日、うちの子供はとっくに大きいがあちらはまだ小学生、学校行事が終わったら女房主体で祝うはず。子供が描いた絵を貰ったり外食したりする間の邪魔をしたく無いので、朝から一切LINEせず過ごした。土日は元からやすが子供らの世話に時間を割くので、おはようくらいしかLINEは無いので概ねいつも通りと言える。が、このLINEの無い一日はこのまま疎遠になるかも、という予感を含んでいる。好きだから別れたくはない、無いけれど彼が寄越す悪意が無い代わりにデリカシーも無い言葉は、特性だから仕方ないと分かっていても嫌でたまらない時がある。旦那やダイキのように悪意がはっきりあり怒鳴り散らすならこちらも反論出来るが、やすのような自覚なく放つ言動はこちらも返す手段が無いのだ。別れたらこれらに悩まされずに済む安堵も大きい。彼を忘れる為に始める新しい趣味は何がいいかな、ヨガでも始めようか。とか思いながら近くのジムを検索するなどして過ごし、月曜。いつもの時間に何も送らないのも、と思いとりあえず「おはよう、昨日は父の日だったからお祝いに水を差さないようにLINEしなかったよ」と送ってみた。これに返信が無ければあちらも付き合いを続行する気が無いのだろう。以降はもう送らない。その様子見のおはようへの返信は
「父の日だったんだ、そんなの気にかけてくれたのはまゆだけだよ。家族は誰も気付いてもくれてない。うちはこんななんだよ、元々」
というものだった。どう返そうか迷っていると、ややあってまた返信が来る。
「俺は嫁じゃなく、子供が好きなんだ。だから子供の為に尽くしてる。まゆから返信が無いのは嫌われたからだと思ってた。まゆとメッセージのやりとりをしない日は、耐えきれないくらい寂しくて辛い。お願いだから別れないでこれからも彼女でいて下さい。俺にはまゆが必要なんだ、ワガママかも知れないけど。うまく伝わるように書けないや、でもこれだけは伝わりますように、大好きだよ」
精一杯の言葉だと思う、私が父の日への配慮も含めて返信をしなかった時間、彼は悩んでいたのだ。嬉しくもあったし同時に申し訳なくなる、一言でも「父の日だからLINEを控えるね」と付け足していたら悩ませなかったのに。その気持ちを素直に「ごめんね、ちゃんとイベントの日だから配慮してLINEしないようにする、って言えば良かったのに、しなかった。私も大好きだよ」と返す。間髪置かずに「良かったーー😭😭もう嫌われて別れられちゃうかと思ってたよ!!」と来た文面を見て、小さく笑いがこみ上げると同時に小さな絶望も沸いた。ADHDは特性であり治療方法は無い、そして彼はあくまで傾向があるというだけで特性自体はごく軽い。それでも彼と付き合うという事は、彼の治る事の無い
無鉄砲な行動と無配慮な発言
時折あるこれを受け入れ許し続けなくてはならないという事でもある。旦那の発達障害に散々悩まされすっかり嫌いになって、付き合ったのはサイコパス傾向のダイキ、それにも愛想が尽きやっと出会って今までの恋愛で一番好きになった康弘はADHD。こうなるとむしろ私がなんらかの特性持ちをわざわざ好き好んでるのかも知れないとさえ感じる。それか、それだけ世間には多いのかも知れない。決してわざわざ好いては居ないが、今好きな男にも避けようの無い特性があるのなら、我慢して付き合うか別れるかの二択しかない。だから我慢が出来なくなるまで、彼に向き合おう。そう小さな絶望とともに改めて思えた。私も彼とLINEのやりとりをしない日は、一日が倍の長さに感じる。そして他愛ないあちらから来る「仕事中車で走ってたら凄く桜が綺麗な場所見つけたから、まゆに見せたくて降りて撮った!」という文面と一緒に送られてくる桜の画像や「昼休みに入った店美味しかったから、次はまゆと行きたい」などにたくさん癒されてもいた。そんな彼を、やっぱり容易には私も離せない。
「会いたい、今夜。顔を見るだけでも、10分でもいいから。だめかな」そう書かれたメッセージに「いいよ、私も会いたい」とすぐ返信した。
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