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interruption
まゆ
公開日|2024.04.28
更新日|2024.04.28
「ゼルダクリアしたから、次はモンハンやりたいな。モンハンならまゆと協力プレイで遊べるし」
花見帰りに寄ったホテルで思うまま抱き合った後、ベッドの中でゴロゴロしながら康弘が言う。やすも私もゲームが好きで、私が先に買ったゼルダをやすも追い掛けて購入し二人で遊んでいた。どちらもクリアし終え「次は一緒に遊べるやつ買おうよ」と言い合っていたが、やすはモンスターハンターを所望。対する私はモンハンはやった事が無い作品だし元々ゲームは好きではあるけど、ゲーマーという程はやらない。どちらかと言うとモンスターをひたすら狩るモンハンは男性向けのイメージもあってあまりやりたいとも思わなかったが、やすは横向きに寝ている私を背中から抱き、髪に顔を埋めながら「分からなかったら教えるよ、一緒にやろうよー」と甘えるように誘う。まるで子供のようなやすが可愛くなり、いいよと返事をした。数日後プリペイドでダウンロード購入しゲームを開始し、会えない日なのでLINEで話し合う。話すうち、互いがお供として連れられる動物に『マユ』『ヤス』と互いの名前を付けていると分かり笑い合った。そして「次会ったら一緒にやろう、明後日はどう?」と提案するやすに「いいよ」と返す。
会うのは明後日なので、その前日に髪色を変えよう。そう思い初めてピンクブラウンに髪を染め、洗面所の鏡に後ろ姿を映して自撮りした。思ったよりピンクが強いが悪くないかも、そんな事を思っていると「仕事終わったー疲れた」とやすからLINEが来たので「染めた」と添えて後ろ姿を写した画像を送る。と「ピンク色にしたの?凄く似合ってる!それに背中がセクシーで興奮する」と返った。お風呂上がりにレースのハーフトップブラをしただけで撮っていて、背中が見えていたのを指摘して来た。続けて「舐めたいし挿れたい、まゆは舐めるとどんどん濡れてくるから、その液吸うのも好きなんだ」とも入った。好きと言わないと私から言ってから、やすから来るLINEの文面が少し変わってきた。とは言え頻繁に言うわけでは無いが数日一回は「好き」と入るし、卑猥な文章はほとんど送って来なかったのにこんなストレートな言葉も頻度は少ないけれど来る。「私もやすのを舐めるの大好き」と返し、互いに明日会えるから楽しみとも言い合った。画面を閉じ、言わなすぎる事を少しは反省したか…と思いながら思わず笑ってしまう。
翌日はいつものように、仕事から帰り家族の食事を用意したらシャワーを浴びて化粧を直す。ハンドクリームを塗り、一度外したクリスマスに買って貰ったリングを再び着けて玄関を出た。程なくしてやすの車が待ち合わせ場所に着く、いつ見てもかっこいい、私にとってはどんな俳優より彼が上。彼もお世辞で似たような事を言ってくれる時があるが、私は本気で思っている。そんな彼に助手席に乗るなりキスされ「腹減ったから先になんか食べない?その後はホテル、いっぱいエッチした後はモンハンもやろう!」と提案され「OK」と返した。途中で見つけた焼き鳥と釜飯のお店に入りノンアルコール飲料で乾杯し食事し、あらかた食べ終えデザートも頼む?と話していたら彼のスマホに着信が入る。
彼は仕事用と自分用2台のスマホを持っていて、鳴ったのは仕事用。「ちょっと外で話してくる」と彼が席を立った後は、嫌な予感がしたのでデザートは頼まず身支度を整え会計を済ませて出入口にあるベンチに腰掛けて彼を待った。「ごめん、どうしても今から行かなきゃならなくなった」と浮かない顔で帰ってきた彼に「仕方ないよ、私は一緒にご飯食べただけでも楽しかったから大丈夫」と答える。「俺は大丈夫じゃないよ、せっかく会えたのに!」と言う彼に抱き締められ、会計を済ませたと言うと財布を出し私の服のポケットに一万円をねじ込んだ。「いいよ、今日はいつも来てくれるからほんのお礼、それに一万も払ってない」と言ったが「いいの、あと次は今日のお詫びも兼ねてちょっといい店行こう」と返る。私を送ると時間が押さないか心配だったが、それくらいの時間の余裕はあるとの事なので言葉に甘え送って貰う事に。エンジンを掛け車を発進させながら、彼がこれから向かう仕事の内容を語る。
「今から中度の知的障害がある独居女性の保護に行かなきゃならないんだ、歳は39だったかな、一度うちの窓口にヘルパーと相談に来たんだけど、どっかの店の従業員を好きになって彼と暮らすって言って家飛び出したみたい。付き合ってもいなくてただ買い物してる時見かけて一方的に好きになっただけの従業員の、お嫁さんになるって今警察で暴れて泣いてるみたい。今日は警察が先に一時保護してくれてるけど、普段は知的障害があるから下手したら店やその従業員に迷惑掛けたりするかも知れないし、車道飛び出したり本人が危険になる場合もある。早く俺達で保護しないとならないんだ」
そう話す彼に「独居って事は支える家族も居ないのね」と言うと「家族はとっくに限界で近寄りもしないよ」と言った後ふっと笑った。
「どうせ飛び出すなら昼にしてくれよ、そうしたらまゆと会う時間までに済ませられたのに」
滅多に苛立った所を見せない彼が珍しく少し強い口調で言う、私も残念だけど彼も残念がってくれていて同じ気持ちだから多少救われる。私があからさまに残念がったり文句を言えば彼の立つ瀬がない、それに私は仕事でドタキャンや仕事でデートを途中で切り上げる場合は元から腹も立たない。彼の障害者福祉の仕事は昼夜問わず呼び出しがあるハードワーク、ともこの8ヶ月間によく分かっているから。待ち合わせ場所に車を入れた彼がシートベルトを外す間も無くキスして来た。そしてベルトを外すなり強く抱き締めて来る。「行きたくない」すがる子犬のような顔で言う彼の髪を撫で「頑張って、いつも誰かを救う為に奔走するあなたを心から尊敬してるよ。次は一緒にモンハンやろ」と慰めた。「まゆは優しいな」彼も小さく笑い、私の頬にキスする。そして私の手を取って股関に誘導した。「でもこんなになってるのに、お預けなんて辛い」ガチガチに勃起したものを触らせながら言う彼に「私も次のお楽しみにしておくよ」と返した。
「終わったらすぐLINEする」窓を開け言う彼に「了解」と言い走る車を見送った。子供の熱だ残業だでドタキャンになった事なら山とある。だけど会っている最中に仕事に舞い戻られたのはこれが初めて。正直言えば多少はがっかりだけど、そこは絶対にこれからも何度あろうが彼に文句は言わないと決めている。女房や義母から批判しかされず、仕事ではコントロールの効かない障害者や丸投げするその家族達、不満ばかりを喚くスタッフ達、間に入るべきなのに知らん顔の市役所職員達…それらを日々相手にする彼が私を求めるのは、性欲よりも承認要求が上回るからだと感じる。上と下に板挟みにされる管理職な上に障害者福祉という特殊な仕事、家では尽くしても尽くしても労いが無い彼が私に求めているのは癒しだ。だから私はどうしても我慢ならない事があれば別だけど、それ以外は彼の生き方や仕事を全て肯定する為に居ると思っている。
それが出来るのは、ある意味不倫関係という責任が無い間柄だからだとも思う。よく孫は子供と違い責任が無いから可愛いと言うが、それに近い。育児の大変な部分は子供夫婦がやり、祖父母はたまに会い好きに可愛がりものを買い与え美味しいところだけ楽しめる。私もそう、責任の無い関係だから彼を好きなだけ甘やかし可愛がり、美味しいところだけ楽しめるから心から肯定し誉められるのだ。それが私の役割でもあり、また不倫という不安定でなんの保証も無い弱い立場の私が貰える恩恵だとも思っている。私はただ誉めるだけ、そして自分が与える甘く優しい言葉に男が安心して微笑み承認要求を満たす様を見るのはたまらなく楽しく、私もまた満たされる。
その日終わったと連絡が来たのは深夜になってから。デートを中断した憂さを晴らすように飼い猫を撫で回していたらLINEが入った。「全て終わって自分の車に戻ったらまゆとエッチ出来なかった悔しい思いが再燃して、我慢出来なくて車ん中でまゆの写真見ながら一人でしちゃった」とも。「一人でするのに使える程、際どい写真なんか送ったっけ」と聞くと「髪染めた時くれた背中が見えた後ろ姿のと、前くれた俺がまゆの胸に付けたキスマーク写した写真」と返った。アダルト画像ではなく私の写真を使ってくれるのも好いた男ならば嬉しい。「次はいっぱいしようね」と返すと「する、まゆ大好きだよ!」と返った。ちゃんと好きと言うのも忘れず律儀に守っている彼が可愛くなり、ついまた笑ってしまった。
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