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いつのまにか恋人に ~止まらない感情⑨ 別れ~
まき
公開日|2024.10.24
更新日|2024.10.24
彼と会うのも以前より間隔が空きはじめ、お互いが少し冷静になってきました。私もこのままで良いと思わなくなってきました。
ある日彼と食事をして、いつものようにホテルでエッチをし、帰りに彼は私を車で送ってくれることになりました。車の中でも手を握り、エッチの余韻に浸っていました。私のマンションの少し手前で車を路肩に止めて、別れを惜しむようにキスをして抱き合っていたとき、車の後方から人が私の横を通り過ぎました。近所で人に会うことだけでもドキッとするのに、それは娘でした。彼女は私に気が付いていないと思いましたが、私はとっさにシートにしゃがみ込み、「車を出して」って彼に言っていました。車で再び娘を追い越して、マンションの周りを少し走り、いつもの帰り道のところでおろしてもらいました。幸い娘は私に気が付かなかったようですが、この出来事が私を現実に引き戻しました。
その後も彼は車で送ってくれました。家まであと20分ぐらいのところで、私から別れを切り出しました。「もう終わりにしよ。私とこんな関係が続いてもいいことはないし。」彼は突然のことで、運転しながら動揺し、とりあえずと言いながら、車を靴の量販店の駐車場に停めました。「なんで?」「いやだよ」とまるでおもちゃを取り上げられた子供の様でした。そして、私にキスをしようとしてきました。私がキスをされて、胸を揉まれるとスイッチが入っちゃうのを彼は知っています。これまでもこれで泥沼に落ちて行っていたので、キスはダメ。。とこばみました。彼はもう少し続けたいと言いましたが、私は「おしまいにしよ」っとだけ言いました。涙が出てきました。「一緒にいた時間は、今まで生きてきた中で一番充実していたよ。たくさんの愛情をもらった。ありがとう」といって彼を強く抱きしめました。彼はキスをしたそうでしたが、私が強く出し決めていたので、自由にはできませんでした。「じゃあ俺からも」と言って求めてきましたが、「さっきのハグで私の気持ちを整理したの、わがままでごめんね」と言って、彼を拒みました。本当は抱きしめてほしかったけど。「それじゃ今日が最後だけど、いつものように家まで送るね」そういって車を出しました。家までは20分程度だったと思いますが、お互い何も話をしませんでした。そしていつも降りる場所の近づき、車を停めると、彼は「これまでありがと」と言って、笑いかけてくれました。私はまた涙があふれてきましたが、明るく「こちらこそこれまで優しくしてくれてありがと」って言って、車を降りました。彼の目にも涙が浮かんでいるように思えました。車は静かに私の横を通り過ぎてゆきました。
次の日に会社で彼に会うことはありましたが、これまでが何もなかったように私に接してきました。気持ちの整理をするのには、しばらく時間がかかりましたが、今は思い出すこともできるようになりました。
おしまい
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