「幸せ恐怖症」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは読んで字のごとく、幸せを恐怖として感じてしまう心理的な症状です。
幸せというのは普段通りなら心が満たされ、平和な気分をもたらしてくれるものですが、この幸せ恐怖症になってしまうと、幸せな状況に対して、不安や恐怖感を感じるようになってしまうのです。
もしそんな心理状態になったとしたら、一体どうしたらよいのでしょうか。
まずは幸せ恐怖症の症状についてチェックし、その対策までご説明していきますね。

目次

●幸せ恐怖症って一体どんな症状?


まずは幸せ恐怖症とは、一体どんな清浄なのかについて見ていきましょう。

幸せになることに恐怖感を感じる

幸せ恐怖症の典型的な状態というのは、幸せになることに恐怖感を感じるようになるというものです。
幸せというのはいろいろな形がありますので、幸せ恐怖症だからといって必ずこのパターンで恐怖を感じるということを特定はできません。
しかし例えばおいしいものを食べた時、ほしかったものが手に入った時、やりたかったことができた時に、人は達成感や幸福感を感じるものです。
幸せ恐怖症になってしまっても、幸せな状況がないというわけではありません。
しかしそんな幸せな状況になってしまうと、幸福感ではなく不安を感じてしまうとい「うわけです。

優しくされることを拒絶したくなる

幸せになるということは、他人から優しくされるということでもあります。
となると、幸せ恐怖症になってしまうと、他人から優しくされることも怖くなり、さらにもし優しくされそうになると、自らそれを拒絶してしまうような行動を取ってしまいます。

楽しいことがあると不安になる

幸せというのは同様に、楽しいことでもあるはずです。
ですから幸せ恐怖症だと、本来楽しいはずのことも楽しむことができずにつらくなったり、あるいはおびえてしまったりしてしまいます。
そうなると人生の中での楽しみというのはなくなることになり、生きがいとするものが見つからずに、どんどん深みにはまってしまうことは想像できるはずです。

幸せ恐怖症で引き起こされる問題とは?


このように幸せ恐怖症とは幸福感や楽しさ、あるいは他人からの親切などを拒絶したり、不安になってしまう状態です。
もしそんな心理状態になってしまうと、具体的に生活する上で、さらには対人関係、恋愛関係の上でどのようなことが起きてしまうのでしょうか。

友だちと距離を置いてしまう

まずは人間関係に対して、問題が起こりえます。
幸せ恐怖症は他人からの優しさに対してすら俯瞰を感じ、拒絶してしまいますから、よい人間関係を作ることが非常に難しくなってしまいます。
仮に人間関係が作れたとしても、相手とのコミュニケーションに対して不安を持ち、きちんと気持ちを伝えたり、やりたいことを主張することが困難です。
そうなるとやはり、友だち関係も本当に心を許せるような深い関係が作れず、距離を置いた希薄なものとなってしまいます。

異性に好意を持っても避けてしまう

これは異性に対しても同じ事が言えるでしょう。
もし好きな人ができたとしても、その人と恋愛関係になることは、幸せ恐怖症のままではとてもハードルの高いものとなってしまいます。
何よりもし告白して成功したとしても、それによって達成感を感じるどころか、不安になってしまうからです。
さらに交際を始めても、相手から優しくされることを恐れてしまうため、付き合い始めることに対しての欲求がなくなってしまうはずです。
ただしこれは裏を返せば、もし告白が失敗したらどうしよう、うまくいっても優しくしてもらえなかったらどうしようという、大きな不安があるということで、ある意味それ自体は別段おかしな事でもありません。
その期待が大きすぎたり、あるいは過去に何らかの傷ついた出来事があったりして、それが原因になって恐怖を感じる、不安になるということもあるわけです。

恋愛をしても幸福感がない

恋愛というものは、基本的に幸せな気分をもたらしてくれるはずです。
好きな相手のことを思うと胸がときめきますし、そんな相手と一緒にいられるようになったら、どんなに幸せだろうと想像したりするものです。
しかし幸せ恐怖症になってしまうと、もしそれがうまくいったらどうしようという不安だけに支配されてしまいます。
つまりそれは、幸せを感じたら必ずその後に不幸になるという「決めつけ」による心理というケースもあります。

相手の気持ちを試すようなことをしてしまう

もし恋愛関係になった人と付き合い始めても、そのこと自体に幸福感が感じられないどころか、幸せ恐怖症はいろいろな問題を引き起こしてしまいます。
例えば相手を試してしまうような行為です。
どうしても相手を信じられず、幸福感をどこまで行っても感じられなくなってしまうと、つい相手がどれだけ自分を大切にしてくれるのかを試してしまうことがあります。
さらに言えばその心理は、どうせ私は幸せになれないという決めつけをしているため、結果的に相手が自分を裏切ることになるように、わざと意地悪な試し方をしてしまったりするのです。

幸せ恐怖症を克服するためにするべき事とは?


では一体、そんな幸せ恐怖症を克服するためには、どんなことを試してみればよいのでしょうか。

自分自身や過去の出来事を許す

幸せ恐怖症というのは、過去の自分のしたことや、あるいは自分に起こった出来事のトラウマから、どうせ自分は幸せなんかになれっこないと自身を縛ってしまうことから引き起こされます。
もしそれが原因であるのなら、過去の自分の振る舞いや、自分の周りで起こった出来事を「許して」げることが必要です。
時計は巻き戻すことはできず、過去の自分の言動を変えることはできません。
仮につらい出来事があったとしても、過去の出来事を変えることもできません。
できることは、そんな過去の自分や出来事に対して、いつまでも感情をそこに持たず、ただの事実として許し、受け入れることだけです。

ひとつずつ幸せが怖くない事実を積み重ねる

さらに幸せを受け止める練習もしてみましょう。
幸せというのは、目をこらせば小さな事からいくらでも受け取ることができるものです。
もしかしたらあまりに大きな幸せを期待しすぎて、幸せ恐怖症になってしまっているのかも知れません。
周りをよく観て、恐怖を感じない程度の小さな幸せを見つけ、それを受け止めてみましょう。
そんな練習を少しずつ続けていけば、幸せ恐怖症を克服できるかも知れません。

どうしても困ったら治療という方法も

もしどうしようもなくつらい感情にしかならないとしたら、一度治療を検討してもよいでしょう。
ドクターに状況を相談し、カウンセリングを受けるなどの方法で過去の出来事をクリアにして、前に進むというのも、ひとつの解決方法です。

まとめ

幸せ恐怖症とは、過去の出来事などによって自分は幸せになってはいけない、幸せとは怖いものだと決めつけてしまうことで、引き起こされます。
幸せを怖がったり楽しさを感じないのは、人生において非常に厄介な問題です。
さらに人間関係や恋愛に対しても、暗い影を落とします。
まずは過去に対しての感情をできるだけ和らげ、自分自身を許したり、周りの人を受け入れるようにしてみてはいかがでしょうか。
小さな幸せを少しずつ加味し見ていくことも、幸せ恐怖症から解放されるためには大切かも知れません。